BTL(Bell Telephone Laboratory)の林らは、GaAs/AlGaAsダブルヘテロ構造レーザを考案し、室温CWレーザ動作に成功した。 CorningはKaoが発明した低損失石英光ファイバの販売を開始した。光通信の光源と媒体の同時出現により光通信発展が始まる。
1966年にC.A.Mead が提案したGaAs MESFETは、GaAsの電子移動度がSiより数倍高く、半絶縁性基板が出来ることなどから、 高周波トランジスタとして有望視され、世界で30社以上が開発を進めた。NECは優れた結晶成長、電極形成技術を開発し、 マイクロ波帯無線通信向低雑音GaAs MESFETを世界に先駆けて商品化した。
UHF帯高出力増幅にはSiバイポーラトランジスタが使われていた。富士通の森田らは、ゲート長5μm(ゲート幅20mm)のAlゲートnMOSFETで、 周波数700MHzで、出力16W、利得6dB(@700MHz)を達成し、世界に先駆けて、MOSFETのUHF帯、マイクロ波帯での優位性を実証した。
1950年東北大・西澤によって発明された静電誘導トランジスタ(SIT: Static Induction Transistor)の三極管特性を活かしたオーディオ増幅用SITが開発された。 これを使用したオーディオ増幅器B-1(150W出力)が発売された。
GaAs MESFETの高周波高出力性能に注目した富士通は、ソース接地方法、電極形成法に特長のあるマイクロ波帯高出力GaAs MESFETを世界で初めて商品化した。 これによりC, Xバンドのマイクロ波中継装置に従来使用されていた進行波管(TWT)をリプレイスし、世界初全固体マイクロ波中継装置が実現した。1989年には衛星通信の 増幅器にも採用されるなど、マイクロ波帯で現在でも広く使われている。
MOSFETの電流駆動能力を向上させるために、チップを貫通させる、いわゆる縦型構造を有し、さらに周波数特性を改善したメッシュゲート構造を組み合わせた縦型メッシュゲート構造パワーMOSFETが提示された。このパワーMOSFETの出現は、その後のMOS系パワーデバイスの基礎となっている。
イメージセンサ用のフォトダイオードは、1980年前後に大幅な改良開発が進められ、1990年代以降のほとんどのCCD、CMOSイメージセンサに採用されるようになったピン留めフォトダイオードが誕生した。
1970年に室温CW発振に成功した半導体レーザーは、非常に短命で発振モードが不安定という欠点があった。劣化原因の解明と対策技術開発、発振モード安定化構造(CSP型、 BH型:日立、TJS型:三菱電機)発案により、世界で初めて半導体レーザーの市販を始めた。
撮像管の置き換えを狙ったCCD撮像素子の開発が1975年頃から活発化するが、ソニーは世界に先駆けて、2/3型、11万画素(242H×490V)のCCD撮像素子(ICX008)を商品化した。 1980年には、これを使用した2チップカラーカメラ(XC-1)を発売した。
石英ファイバーは発売当初は波長850nm付近が低損失であったが、ファイバーの技術が進み石英の純度が向上すると、最初は1310nm、ついで1550nmで損失が最小になること がわかってきた。このため各社いっせいにInGaAsP/InP系レーザーの開発に着手し、1976年に東工大・NTTが連続動作に成功する。その後、各社いっせいに低しきい値1.3μm帯InGaAsP/InP系レーザーの開発に成功し、 1983年12月のF-400M(NTT)の運用開始につながる。
1979年12月に富士通(研)三村高志によって発明された、半導体ヘテロ接合界面の2次元電子ガスをチャネルにもちいる電界効果トランジスタである。高速・高周波動作に優れ、 1985年に国立天文台電波望遠鏡の低雑音受信機に採用されたのを商用化の第一歩として、現在では衛星放送、移動無線などマイクロ波・ミリ波通信分野の重要デバイスになっていると同時に、この発明が契機になって、 各種半導体ヘテロ接合の重要性を認識させた功績も大きい。