2000年代は微細化限界への挑戦の時代となった。同時に産業の米として多種多様の製品にデバイスが応用されるようになった。ウェーハも300mmに大口径化され、 一工場一千億円を超える投資が必要となった。その膨大な投資額から寡占化は拍車をかけ、微細化とコストアップの相反した難題に直面した。
ウェーハ径が200mmから300mmに移行。200mmへの移行時ほど業界としてトラブルは無かったが、装置業界は開発費の負担が増大した。
250nm以降の微細化のために露光装置の光源波長が193nmのArFエキシマレーザーに移行した。しかしそれ以上の光源の短波長化は出来ず、 代わってレンズを水に浸す液浸技術によりNAを1以上に上げた装置が使われるようになった。装置メーカとして日本のニコンとキヤノンと並んで、 オランダのASML社が台頭してきた。
露光装置の光源波長が193nm以降短波長化せず、これを補う技術としてマスクに複雑なOPC処理を施したり、ダブルパターニング技術を使うようになり、マスクコストが大幅に増大してきた。
微細化に伴い配線による信号遅延が大きくなり、この対策として配線間の絶縁膜の 低誘電率化が進んでいる。比誘電率3以下のLow-k材料を使うと、 ダマシンによるCu配線にバリアー/シード用メタルが必要となる。Low-k膜を平坦化する低圧CVD装置やバリアー/シード膜堆積用のスパッタ装置またはALD装置が必要となる。
ALDは1974年、フィンランドのTuomo Suntolaによって発明された。EL(エレクトロ・ルミネッセンス)用ZnSの成膜法に適用され、その後様々な分野に展開された。 半導体分野では東北大によってMBE(分子層エピタキシー)と呼ばれたGaAs成長に適用された。シリコン半導体分野では、90nmノード以降の微細化に不可欠な成膜法になった。
微細化によらずトランジスタを高速化するために歪シリコン技術が使われるようになる。内部歪を持ったライナー膜を付けたり、 シリコン中に局部的にゲルマニウムを入れたりする技術が採用された。
最先端ロジックLSIでは、実質的にゲート絶縁膜を薄くしてトランジスタを高速化するために、絶縁膜としてハフニアなどのHigh-k膜を使い、 ゲート電極としてシリコンゲートに変わってメタルゲート(但し昔のALゲートではない材料)を使用するようになった。