1990年代はプロセスの微細化、生産量の巨大化、ウェーハの大口径化による一工場数百億円という投資競争時代の始まりとなり、メガファブや装置メーカの寡占化が進んだ。 また、韓国、台湾の追い上げが始まり、世界レベルとなった国産装置に付随したプロセス技術の海外流出が日本減衰の一因と評された。
ウェーハの大口径化が進み、製造ラインが200mmウェーハへ移行。熱歪による歩留まり低下に遭遇し業界全体として200mmライン立ち上げに苦労した。 そのような中から熱歪の少ない縦型拡散炉が登場した。
微細な溝にSiO2を埋めたり深い穴をエッチングするために、高密度プラズマ装置が開発され、生産に使われるようになった。 装置メーカとしてアネルバ、日立、Lam、ノベラス、AMATなどが次々と参入した。
微細化とともに、接合深さを浅くする一方、抵抗も下げなければならないという相反する要求が出てくる。イオン注入を使って非常に浅くすると抵抗が大きくなるので、 拡散層の上にメタルを合金化するシリサイド技術が採用されるようになった。
プラズマ方式がエッチングやCVDに広く使われるようになると共に、ウエーハを精度よく処理するために、1枚ずつ処理する枚葉方式の装置が主流となってきた。 同様にアニール装置、洗浄装置においても枚葉化が見受けられる。
微細化が進むにつれて露光装置の解像度を上げる必要性が増し、レンズのNAを上げると共に、露光光源の波長を短くしたステッパが使われるようになった。 1990年代前半には水銀ランプのi 線光源が使われ、1990年代後半にはKrF エキシマレーザーが使われるようになり、最小寸法が250nmのLSIが実現した。
1990年代の後半になりCMP技術によって表面を極めて平坦化する技術が使われ始めた。平坦化によってリソグラフィにおける焦点深度低下をカバーでき微細化が進められたこともCMPの一つの利点である。 ドライイン/ドライアウト方式のCMP装置が日本で開発されたことで、クリーンルーム内にCMP装置を設置できるようになったことが実用化に寄与。
さらに微細化が進み、0.35μm世代になると素子分離にSTI(shallow trench isolation)が採用されるようになった。STIの実現には、微細溝へ絶縁物を埋める HDP-CVD技術や表面を平坦化するCMP技術が使われた貢献した。
配線抵抗を下げるためにAlに代わってCuが使われるようになるが、Cuはエッチングできないので配線加工のためにダマシン法が採用されるようになった。 ダマシン法ではCMPが必須の技術である。