IC/LSI用パッケージ外形の変遷(図)
米国は、より多くの回路をチップ上に集積させるシステムLSI(SoC:System on Chip)を得意としていたが、日本は短納期・低開発コストでシステムLSIを実現する方法として3次元積層実装技術の重要性にも注目し、 材料や装置メーカなどとSiP技術やモジュール実装技術を進展させ、携帯電話など情報端末の多機能化・モータ駆動部のシステム実装化などを実現させた。
日立製作所よりワイヤーボンディングのインダクタンス成分を低減する構造として、素子に金線のスタッドバンプを形成し、その上にリードフレームを配置したLFPAK(R)を開発し、Li電池駆動用Power MOS素子などを搭載し、 リチウムイオン電池の電池寿命の低減などが図られた。
村田製作所などは、携帯電話のインタネット接続、世界で使える携帯電話などのために多チャンネル通信が可能なPAM(Power Amplifier Module)にLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramic)技術を用いて、 バンドパスフィルタ・バイバスコンデンサ・インピーダンス整合など内蔵させるベースバンド部の回路システムを統合するPAMの開発が盛んに行われた。
デジタルデータを保存するNAND型フラッシュメモリの大容量化開発により、パソコンなど電子情報機器の外付け半導体メモリカードとして、コンパクトフラッシュ・マルチメディアカード・メモリステック・SDカード・μSDや、 USBメモリなど多くのフラッシュカードが開発された。
ルネサステクノロジは、MPU素子上にメモリ素子など異種素子を積層実装してシステムLSIを実現するSiP(System in Package)設計技術を確立してデジカメに採用された。 SiPはシリコン上に全回路を形成するSoC(System on Chip)設計に比べて、単期間開発・低開発費・大容量展開などにメリットがあり、デジタルカメラ・携帯電話に採用され、その後耐ノイズにも優れていることから、 自動車・医療・画像転送など適用が拡大した。
パワーエレクトロ二クス分野の半導体部門を残した三菱電機㈱は、モータ駆動部のシステムを統合したモジュールの量産を拡大させた。このモジュールは、IGBT・逆流防止ダイオード・マイコンなどの半導体素子を 一つのリードフレーム上に配置し、アルミ線で素子との接続後トランスファー成形でピン挿入型のパッケージに纏め上げる手法であり、DIPIPMTMと呼ばれている。
デジカメ・携帯電話など手持ち電子機器に写真撮影などの高精彩画像データを格納するために、NAND型メモリシステムの小型大容量化が推進された。ノートパソコン用SSD(Solid-State Drive)の大容量化、 携帯電話のマイクロSDなど薄肉ウェーハの多層素子実装化が進行して、ウェーハのバックグラインド技術による薄型化により8段→16段→32段へと拡大した。
地球環境問題への対応として欧州市場中心にしたRoHS(Restriction of Hazardous Substances)対策として、はんだ材料の非鉛実装化が推進され、日本はSn-Ag-Cu系材料などを推奨し量産適用拡大した。
HEV(Hybrid Electric Vehicle ハイブリッド自動車)やEV(Electric Vehicle電気自動車)などのモータ駆動部や電源部の低消費電力化に向けた新規パッケージングの開発が盛んになった(トヨタ、デンソー)。 アルミワイヤーボンディングに替わり、熱伝導率や導電率が高い銅のリードフレームで半導体素子をサンドイッチするクリップリード構造など低インダクタンス、低抵抗、高放熱構造の製品適用が拡大した。
エルピーダメモリは、シリコン貫通電極TSV技術を採用したDRAMメモリモジュールを発表した。DIMM→SO DIMM→Micro DIMMと小型高密度実装技術を、DRAM素子に貫通穴を開けポリシリコンで穴を埋め、 その素子間をはんだ接合で8段実装することで、DRAMモジュールを小型高密度に実現した。