1990年代
化学増幅型フォトレジスト
〜装置・材料/リソグラフィ〜
1982年、IBMから触媒反応を利用した化学増幅型フォトレジストが提案された。1個の光量子の感光反応で生成した活性種によって連鎖反応を起こさせて感度を大幅に向上させるものである[1]。化学増幅型は1980年代後半に、Shipley社の電子線描画用レジスト(SAL601)やHechist社のX線対応レジスト(RAY-RF)に用いられた経緯がある。
光リソグラフィは光源をg線(436nm)からi線(365nm)へと短波長化して微細化が進められ、1990年代後半にはKrF(247nm)へと向かった[2]。しかしフォトレジストのポリマーは波長が短くなるほど光の透過率は低下し、またKrFの光源に使われるレーザーの出力は小さいので、フォトレジストにはg線やi線用の10倍程度高い感度が求められた。化学増幅型フォトレジストはこうした背景から光リソグラフィ向けに注目され、デバイス企業、レジスト企業、レジスト原料企業との有形・無形の連携によって研究開発が進められた。
フォトレジストのベース樹脂は、g線、i線ではノボラック系が用いられていたが、KrFでは透過性の高いポリヒドロキシスチレンへ移行した。1984年にIBMが適用したもので[3]、KrF対応には日本曹達、丸善石油化学、東邦化学などが半導体グレードの高純度にして提供した。
こうしてKrFエキシマレーザー対応の化学増幅型フォトレジストが実用化した。1997年、東京応化によって化学増幅型フォトレジスト(TDUR-P015)が開発され、2000年にはIBMとの共同でJSRからも開発された。1990年代後半に立ち上がったKrFエキシマレーザー・スキャナー[4]と相まって、0.25μmプロセスのフォトリソグラフィ技術が確立した。化学増幅型フォトレジスト技術は、その後も2000年代以降のArFやEUV対応へと進化を続けている。
【参考文献】
[1]H. Ito, C.G. Willson, J.M.J. Frechet, Digest of Technical papers of 1982 Symposium on VLSI Technology, 86 (1982)
[2]1990年代後半:露光光源の短波長化(i 線からエキシマレーザー光へ)
[3]Ito, H.; Wilson, C. G.: ACS symp.Ser., 242, 11(1984)
[4]1990年代後半:KrFエキシマレーザーのステップ・アンド・スキャン露光装置
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