日本半導体歴史館 館長
牧本 次生 |
1947年、米国ベル研究所においてトランジスタが発明されてから、半導体の分野においては間断なく技術革新が行われ、今日の高度情報化社会を構築する基盤となっています。
半導体産業の立ち上がりの初期にあっては、米国とともに日本が大きな役割を果たしました。しかし、両国における発展のパターンは大きく異なっていたのです。米国においては主として軍事、宇宙、コンピュータの分野が半導体産業の牽引役を果たしましたが、わが国においてそのような役割を担ったのはラジオ、テレビ、電卓、VTRなどの民生分野だったのです。半導体はそのような製品を通じて、「日本の奇跡」とも言われた、戦後日本の復興を支える最も重要な基盤産業となりました。 |
その重要性は今日においても、また将来においてもいささかも変わることなく、天然資源やエネルギー資源の乏しいわが国にとって、まことにかけがえのない産業であります。さらに、これからの「環境の時代」を支えるスマートグリッド、太陽光発電などの再生可能エネルギー、LED照明、EV(電気自動車)、AI搭載ロボットなどの様々な分野において、半導体が果たす役割は計り知れないものがあります。
このように重要な産業分野の歴史を黎明期にさかのぼって残していくことは極めて意義深いことであり、「温故知新」の言を俟つまでもなく、それは将来への貴重な道標になるものと信じています。
「日本半導体歴史館」が半導体産業の分野で働く人々のみならず、一般の方々にとっても貴重な情報源になることを願っています。そして、わが国の半導体産業がますます発展することを祈念するものであります。
「日本半導体歴史館」は将来への道標です!
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2024年8月(改訂)
以上 |
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