1980年代
g線フォトレジスト
〜装置・材料/リソグラフィ〜
ポジ型フォトレジストは1963年にヘキスト(Hoechst)によって開発された(AZ1350)。ノボラック系樹脂と感光材のポリフェノールを組み合わせたものである。このフォトレジストはゴム系をベースにしたネガ型フォトレジストに比べて解像度は優っていたが、硬度と脆性が高いためにコンタクト露光方式ではフォトマスクにキズをつける欠点があった。さらにウェーハとの密着性が弱く、ウェットエッチングではサイドエッチが大きく、また現像液が半導体の汚染源となる水酸化ナトリウムを含んでいたために、ウェーハプロセスにはあまり使われず、クロムマスク製造に限られていた。
1970年代の後半、コンタクト露光方式からプロキシミティやプロジェクションの等倍投影露光方式へ代わったこと、IBMが現像液に水酸化ナトリウムに代わる有機系のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を用いる方法を開発したこと、また加工方法もウェットエッチングに代わるドライエッチングが開発されたことから、ウェーハプロセスにポジ型レジストが使用可能になった[1][2]。
1976年に発足した超LSI研究組合はポジ型レジストを用いる露光技術開発を目指していたが、当時のポジ型レジストには基板材料との接着性が不足しており、また1.3μmレベルに使用するg線露光では現像時の表面層剥がれあり、加工欠陥を生ずるなどの問題があった。東京応化はヘキストの特許切れを機にこれらの問題解決を図ってプロジェクション露光用ポジ型レジスト(OFPR-800)を1979年に商品化した。東京応化は同時にIBMの技術開示を受けてTMAHをベースにした現像液(NMD-3)を商品化した。
このレジストは並行して開発されたg線縮小投影露光[4][5]に対して感度が高く、また高分子量、高軟化性のノボラック樹脂をベースにしたためにウェーハ加工に作用され始めたドライエッチングに対する耐性が高く、1980年代の1.3μmレベルのプロセスに広く使用された。
【参考文献】
[1] 1970年代中頃:リソグラフィー技術がコンタクト露光方式からプロキシミティ露光方式へ移行
[2] 1970年代:プロキシミティ露光装置およびプロジェクション露光装置
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