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1970年代後半 CRTCを始めとするマイコン周辺LSIの製品化 (日立) ~集積回路~ |
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コンピュータの情報を出力するディスプレイ表示は、ニキシー管のような専用の管球を用いるものからブラウン管(CRT)を用いる方式になり、電子線を直接走査して文字や図形を描くランダムスキャン型から、テレビのように隅から隅まで走査するラスタスキャン型へと発展した。1960年代後半、日立では研究所を中心に、計算制御システムで用いるプロセスディスプレイの開発を進めていた。ラスタスキャン型のCRTを用いて、文字や図形を表示する装置である1)。1970年代に入って、より高性能化・多機能化が要求されるようになり、高度なLSI化に向けた開発を進めようとしていたが、専用ハードウェアを用いた設計では開発期間と製品コストにおいて大きな隘路となっていた。 1970年代にはいり、インテルの4004に端を発するマイクロコンピュータは、4ビットから8ビットへと移行し、市場が大きく拡大しつつあった。CPUと並行してマイコンシステムの中で多様な周辺制御用のLSIが必要となり、半導体各社でこれらのLSI開発が進められた。日立では当時プロセスディスプレイ向けに開発を進めつつあったCRT制御LSIの方針を転換し、汎用のマイコン周辺LSIとしてCRTコントローラ(CRTC:HD46505,HD6845)2),3)を開発する方向に舵を切った。同時期に開発された周辺LSIとしては、カセット磁気テープコントローラ、フロッピーディスクコントローラ、DMAコントローラ、などがある4)。 当時のCRTでは文字を表示するのが中心であり、CRTCは文字とあらかじめ準備された簡単な図形を表示するセミグラフィックスの表示を制御する機能を有していた。1977年に初期ロットを完成、完成度が高く、直ちにサンプル出荷を開始した(図1、図2)。初期の最大顧客はゲーム機メーカであり、大型アーケードマシンから個人用ゲームマシンに至るまで急速に普及した。 また、この時期はパーソナルコンピュータの登場から成長期に当たり、その出力装置としてCRTを使用するのが一般的になりつつあった。CRTCは表示文字数等のCRTの仕様に左右されないプログラマブルな機能やCPUに依存しない汎用的なインタフェースを特徴としており、1981年発売のIBM-PCにも採用された。IBM社のオープンアーキテクチャ戦略によって、その後IBM-PCがパソコンの標準仕様となった。その表示制御アダプタ(後のVGA)を構成するデファクトスタンダードの基本部品として、CRTCはマイコン周辺LSIとしては類のない記録を残し、その後に続く日立の表示制御用LSI製品群発展の基礎となった。 |
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図1 HD46505 CRTC
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図2 HD46505 CRTCチップ写真
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【参考文献】
【移動ページ】 集積回路/該当年代へ 【最終変更バージョン】 rev.001 2022/3/25 |