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1970年代前半 時計用CMOS LSIの発展(セイコーエプソン) ~集積回路~ |
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セイコーは1969年12月、世界初の水晶発振式腕時計SEIKOクオーツアストロン・35SQ(ハイブリッドIC搭載)を発売した。時を同じくして諏訪精工舎(現セイコーエプソン)では、自社製CMOS
ICの開発が始まった。そして1971年に1.5Vという低電圧で動作するCMOS IC (R-38A)の開発に成功し、同年SEIKOアナログクオーツ38SQWで実用化・搭載された。この低電圧動作を可能としたCMOS
ICの開発・実用化は当時の日本の半導体業界にあっては画期的なものであった。 その後、1972年に世界初の液晶表示式時計用CMOS LSI(R-57)の開発に成功。これを自社開発の液晶表示体と合わせて1973年世界初の6桁液晶表示式SEIKOデジタルクオーツ06LCとして発売された。 以降急速にクオーツ化が進展する中、セイコーエプソンのすべてのクオーツ時計製品(クロノグラフ/電卓/ワールドタイム等)に社内製のCMOS ICが採用された。 ここでは1970年代前半の時計用CMOS LSIの創成期について紹介する。 【開発期】 1969年にスタートした時計用ICの開発ターゲットは1.5Vで動作するCMOS ICであった。この為には、①単一シリコン基板上にP、N両極性の素子を形成するための表面濃度の調整、②経時変化の無い極めて清浄な酸化膜形成の二点に注力した。当時の半導体製造設備の状況の下ではこれらの要求を満たす事は極めて困難を伴った。設備も技術スキルもゼロからのスタートにもかかわらず、上記ターゲットを2年で達成した。 【実用期】 開発期の技術をベースとした最初の時計用CMOS IC(38SQW用 図2)は、1.57Vで動作する15段の分周回路(発振回路、駆動回路別途)であった。試作品を1971年4月に完成し各種特性・信頼性など目標値の達成を確認。同年11月に量産品の出荷、12月にSEIKOクオーツ38SQW(図1)として発売された。その後アナログクオーツ用CMOS ICにおいては、発振回路、ステップモーター駆動回路搭載などのワンチップ化が図られた。 また1972年9月には、デジタルクオーツ時計用にCMOS LSI(図5)が開発され、自社開発が進められていた液晶表示体と組合せて1973年10月に世界初の6桁液晶表示式SEIKOデジタルクオーツ(06LC 図4) が発売された。表示にはFE方式液晶表示素子を使用し時分秒の6桁表示となっていた。平均使用電力は約1.5μW、表示電圧が3~6Vと発光ダイオードに比べ大幅に改善され電池寿命2年を達成している。 これら時計を初めとした携帯機器を可能にしたのが、CMOS集積回路/製造プロセス/回路実装などの半導体技術であり、半導体産業発展の原動力となった。 |
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図1.SEIKOクオーツ38SQW (世界初の日付・曜日カレンダー付き水晶発振式電子腕時計) (写真提供 セイコーエプソン) |
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図2.アナログクオーツ38SQW用 CMOS IC (写真提供 セイコーエプソン) |
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図3.38SQW用 CMOS IC ウエハ 1.5インチ (写真提供 セイコーエプソン) |
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図4.SEIKOデジタルクオーツ06LC (液晶表示式デジタルクオーツ) (写真提供 セイコーエプソン) |
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図5.デジタルクオーツ 06LC用 CMOS LSI (写真提供 セイコーエプソン) |
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図6.06LC用 CMOS LSI ウエハ 2インチ (写真提供 セイコーエプソン) |
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【参考文献】 (1) 蚊野利雄、西村厳彦(1977)「時計用ICの現状と展望」『日本時計学会誌(83)』 ,pp74-82,1977-12-20, 社団法人日本時計学会 (2) 『年表で読むセイコーエプソン[1881~2000年]』,2001-2セイコーエプソン株式会社 【移動ページ】 集積回路/該当年代へ 【最終変更バージョン】 rev.002 2011/5/10 |
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