1985年
FPGAの開発(米国Xilinx)

〜集積回路〜



FPGA (Field-Programmable Gate Array) は、出荷後にユーザ側で機能をプログラムできる点に特徴がある。1985年にXilinxによって初めて製品化された。当初はゲート数が少なく動作速度も遅かったため、ASICの試作検証用など、用途は少なかったが、90年代になり、その柔軟性、低コスト性が認識され始めると、ゲート規模も拡大し動作性能も改善していった。さらに2000年代にはいると、プロセッサ・コア、高速インタフェース、乗算・加算の専用プロセッサなどが内蔵され、DSP、マイコン、プロセッサなど、多彩な機能を実現できるようになった。現在では、AISCの開発がむしろコスト高となっており、最先端CMOSプロセスで作製したFPGAは、ゲート規模、性能ともにASICを凌ぐ傾向にある。XilinxとAlteraの2社で現在のFPGA市場の80%を占める。

 FPGAの基本的概念は、論理ゲート、論理ブロックなどの機能・配線を出荷後に変更できるようにした点にある。この意味では、LSIの出荷後にユーザが配線を変更できるようにしたPROM(Programmable Read-Only Memory)、あるいはPLD (Programmable Logic Device)は、その嚆矢といえる。
 Xilinxが、1985年、初めて製品化したXC2064は、8 x 8の格子構造による64個のCLB (Configurable Logic Block)からなり、各々のCLBには3入力のLUT (Look-Up Table)を有していた。但し、同シリーズのゲート数は1200-1800に満たず、ASICと比較すると、集積度、動作速度などで性能は劣り、また価格も高かった。その結果、用途は、ASICの試作検証用、一部の研究用など限定的であった。
 しかし90年代に入ると、その柔軟性と可能性が注目され始め、参入企業も増えると共に、微細化の恩恵を受けて、集積度、動作性能も大きく改善した。Xilinxが、1990年に発表したXC4000シリーズでは、ゲート数は25,000に達した。またメモリブロックが搭載されると共に、PLL (Phase-Locked Loop)も搭載され、高速設計への対応が進んだ。用途も、通信、ネットワーク、自動車、産業用途などに拡大した。
2000年代に入ると、FPGAの機能がさらに上がり、システムLSI化が進んだ。まず、プロセッサ・コアが搭載された。Altera社は、2000年にARMプロセッサを内蔵したFPGAであるExcaliburを製品化した。さらに、高速外部インタフェース、画像処理用の乗算、加算の専用ブロックなどが搭載され、FPGAの機能は、ASICのみならず、DSP, マイコン、あるいはプロセッサもカバーできるようになった。また最先端のCMOSプロセスも用いられ、高集積化、高性能化が進んだ。Xilinxが、2009年、40nm/45nmプロセスによるFPGAとして発表したVertex-6は、ロジックセル数76万個、RAMブロック26Mビットを有する。Alteraが、2011年に出荷を予定しているStratix-5は、28nmプロセスで作製され、3,680個の乗算器、100万以上のロジックセル、50Mビット以上のRAMを有する。

LSI市場の要求が短期間に変わり、製品がより少量多品種の傾向に向かう中、大量生産を前提とし、開発期間が長いASICは、柔軟で開発期間の短いFPGAにとって代わられるようになった。今後のコンピュータ環境が、ビデオ、音楽、写真の伝送、クラウドコンピューティング、モバイルアクセス、と益々多様で複雑になることを考えると、FPGAのもつ柔軟性、低コスト性は、今後益々応用範囲を広げるものと考えられる。

【参考文献】
[1] 「いま振り返るFPGA普及・発展の歴史」 堀内伸郎(日本アルテラ(株)): 
  http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1001/27/news099.html
[2] 「FPGA」フリー百科事典ウイキペディア日本語版 (2010年9月20日 07:14):
  http://ja.wikipedia.org/wiki/FPGA


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【最終変更バージョン】
rev.000 2018/7/18