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1988年 TRON仕様準拠のCISC型32ビットマイコンの開発 (日立、富士通、三菱電機ほか) 〜集積回路〜 |
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1984年に提唱されたTRON(The Real-Time Operation systems Nucleus)プロジェクトは、大学の協力のもとに半導体各社やマイクロコンピュータ業界各社が参加して始まった。TRONプロジェクトはコンピュータが社会に広く普及し日常生活の中に入り込んでゆく「どこでもコンピュータ」の時代に向け、新しいコンピュータアーキテクチャを開発してコンピュータ化された機器間の連携を容易にすることを目指したものであり、プロジェクトのなかの主要なサブプロジェクトには、組み込み制御用OSのITRON、ビジネス用途OSのBTRON、通信機器用途OSのCTRON、そして32ビットマイクロプロセッサのTRON CHIPの開発があった。また、プロジェクトでは成果を公開とするというオープンアーキテクチャが基本原則とされた。 TRON CHIPの仕様は、命令の直交性、64ビットへの拡張性などの特徴を持ったCISC(Complex Instruction Set Computer)型のマイクロプロセッサアーキテクチャをベースとしていた。この仕様に準拠したマイクロプロセッサ製品(Gmicroシリーズ)は、1988年の日立を皮切りに、富士通、三菱など各社で開発された。しかし、各社の開発したTRON CHIP(Gmicro)は市場で本格的な普及されるには至らなかった。急速に発展していたRISC(Reduced Instruction Set Computer)型マイクロプロセッサ技術がコンパイラ性能の向上などでその後のマイクロプロセッサ技術の主流になり、海外および国内各社はRISC型のマイクロプロセッサ開発に注力してゆくことになったからである。TRON CHIPは本格的な普及には至らなかったが、国内半導体各社はこのTRON CHIPの開発プロジェクトを通してマイクロプロセッサ関連の技術基盤を強化発展させ、その後のマイクロプロセッサ事業へと繋げていった。 一方、TRONプロジェクトの一環で開発された組み込み制御用リアルタイムOSのITRONは、その後、自動車制御や携帯機器など多くの機器で幅広く採用された。そして、このITRON OSを搭載したT-ENGINEは、現在マイコン機器のプラットフォームとして広く普及している。 |
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図 TRON CHIP(Gmicro200)のチップ写真 (提供:日立) |
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【参考文献】 1) 「TRONプロジェクト」: 『フリー百科事典ウイキペディア日本語版』(2010年8月19日23:46) http://ja.wikipedia.org/wiki/TRON%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3% 82%A7%E3%82%AF%E3%83%88 2) 「TRONCHIP」 『フリー百科事典ウイキペディア日本語版』(2010年9月25日21:10) http://ja.wikipedia.org/wiki/TRONCHIP 3) 「CISC」:『フリー百科事典ウイキペディア日本語版』(2010年9月15日12:55) http://ja.wikipedia.org/wiki/CISC 4) 「RISC」『フリー百科事典ウイキペディア日本語版』(2010年9月14日21:59) http://ja.wikipedia.org/wiki/RISC 【移動ページ】 集積回路/該当年代へ 【最終変更バージョン】 rev.002 2010/10/24 |