1971年
4ビットマイコンの製品化 (米国Intel)

〜集積回路〜



世界初のマイコンの誕生はIntel社が、1969年に日本の電卓メーカ、日本計算機販売(通称ビジコン)から電卓用LSIの注文を受けたのがきっかけである。ビジコンでは異なる仕様の電卓を品揃えするために、LSIのチップは13種類もあり、会社設立後間もないIntel社では技術者不足のためこれをこなすことは難しかった。このプロジェクトを担当したテッド・ホフは、全部のチップを別々に開発するのではなく、メモリとプロセッサをうまく組み合わせ、メモリのプログラム内容を変えることで異なる仕様に対応すれば、少数のチップの開発でまかなうことが可能であると着想した。即ち、ストアードプログラム式の電卓である。ビジコンから派遣された嶋正利とともにこのアイデアに基づいて製品化したのが4004であった。

このチップの開発費はビジコンが負担したため、その販売権はビジコンが持っていたが、皮肉にもそのころから電卓市場は乱戦模様となる。ビジコンの経営は極めて苦しいものとなり、その販売権をすべてIntel社に売り渡すことになった。

4004の販売権を得たIntel社はこの製品を電卓だけでなく、さまざまな応用分野に拡販した。即ち、これまでシステムごとにチップを別々に設計していた方法を改めて、チップの設計は変えず、メモリに記憶させるソフトウエアのみを変更することでシステム機能を満たすことにしたのである。図はIntel社の4004の写真である。

1997年になって、マイクロプロセッサという偉大な製品への貢献者に対して京都賞(京セラ創業者の稲盛和夫が1984年に創設した国際賞)が贈られることになった。受賞者に選ばれたのはフェデリコ・ファジン、エドワード(テッド)・ホフ、スタンレー・メイザー、嶋正利の4名であり、いずれも4004の開発に携わった人たちであった。

世界初の4ビットマイコン、インテル社の4004
(提供:インテル)


【参考文献】
1) 桑原裕他編「MOT歴史の検証」 第5章「半導体産業における歴史の検証」(牧本次生)
2) マイクロプロセッサ 4004 (インテル) 電卓博物館ホームページ
http://www.dentaku-museum.com/hc/computer/intel4004/intel4004.html


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【最終変更バージョン】
rev.002 2010/10/23