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1970年代 SRAMの発展 〜集積回路〜 |
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1960年代後半に最初の半導体メモリとしてバイポーラRAMが登場したが、その後1969年にIntelがMOS SRAMを発売した。PMOSの256ビットのSRAM 1101である。Intelは続いて1KビットNMOS SRAMと1KビットCMOS SRAMを発売した。 1970年代、DRAMはメインフレーム用メモリ、SRAMは周辺機器やマイコンシステム用メモリとして発展する。当時のSRAMの市場はDRAMの1/3から1/2の規模があり、メモリの重要な市場であった。 SRAMは、アクセス時間が遅いが比較的大容量の中速SRAMと、容量は小さい高速SRAMの2系統に分化して発展していく。高速MOSSRAMでも先陣を切ったのはやはりIntelであり、Intelの1KSRAM 2115は当時としては高速な70nsを達成した。この分野はバイポーラRAMと競合になったが、微細化が進むにつれて高速MOSSRAMのアクセス時間は70ns、55ns、45nsと改善されていった。その結果バイポーラRAMは超高速の分野に特化していった。 初期のCMOSSRAMではIntelとIntersilが有力メーカであったが、日本メーカ各社が参入して開発競争が激化していく。特に東芝は1975年に日本メーカとして初めて1KビットのCMOSSRAM TC5006Pを開発した。東芝はさらに1977年のISSCCにおいて4KビットCMOSSRAMを発表した。 CMOSSRAMの特徴は低消費電力特性で、動作時に低消費電力なだけでなく、主電源を切ったあと電池でデータ保持が可能なバッテリバックアップ機能を有していた。 1978年になると、TIがEPROMとピン配置互換の16KビットNMOSSRAM TMS4016を発売し、16Kの時代となった。日本勢では、日立がCMOSのHM6116、東芝が同じくCMOSのTC5516を発売し、さらにNEC、富士通、三菱電機、沖電気など各社が製品を発売して大競争となった。この16Kの時代に日本メーカが米国メーカに対して優位に立ち、特にCMOS製品が中心となった中速SRAMでは日本メーカは圧倒的な立場を獲得した。 なお、当時のSRAMのメモリセルには、PMOSとNMOSで構成する6MOS型のCMOSセルと高抵抗を用いた4MOS+2Rのセルの2種類の流派があった。 |
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図 東芝の1KビットのCMOSSRAM TC5006P4) |
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【参考文献】 1) 日経エレクトロニクス ICメインメモリはMOSかバイポーラか 1971.7.19 PP26-39 2) 日経エレクトロニクス MOSスタティックRAMも4K時代に 1977.5.2 PP48-64 3) 日経エレクトロニクス 豊富な品種が揃うCMOS RAM 1981.6.8 PP92-101 4) 日経エレクトロニクス 国産初の1,024ビットCMOS RAM 1975.2.24 P154 【移動ページ】 集積回路/該当年代へ 【最終変更バージョン】 rev.001 2010/10/26 |