1970年代
CADツールの登場

〜集積回路〜



 半導体レイアウト設計用のCAD (Computer Aided Design)システムとして、アメリカのCalma社、Applicon社などのシステムが登場した。いずれもミニコンをホストコンピュータとしたターンキーシステムであった。両社ともその後の買収などを経たのち消滅したが、Calma社のフォトマスクのデータ形式であるGDSU(ストリーム)形式は現在に至るまで使用されている。日本でも、同じ時期にセイコー電子工業や図研から同様のシステムが登場している。

当時のCADは大変高価だったため、設計者が直接使用せず専任オペレータがデータ入力や修正をするという使われ方をした。手書きのレイアウト図を手に、専任オペレータがCalmaやAppliconといったCADツールでデジタイズ作業を行い設計データとして取り込んでいた。デジタイズ後のデータから等倍に出力されたプロット図を、マスク製造用の原版を拡大写真撮影したものと重ね合わせて検図や検証を行っていた。

Calma社:1965年〜1988年に活動
デジタイザーとミニコンピュータベースのグラフィックシステムを備えた半導体レイアウト設計用のCADシステムのベンダ。1970年代の終わりまでに、Calmaのシステムは事実上すべての主要な半導体製造会社で導入された。Calmaは、半導体業界でLSIレイアウト設計データのデファクト標準フォーマットとなっているストリームデータ形式のGDS(Graphic Data System)を1971年に、GDSUを1978年に公開した。GDSUは、LSIレイアウト設計データをレイヤ数、データ型、テキスト情報などで表現するバイナリのフォーマットである。現在、多くのEDAベンダが、論理設計からレイアウト設計までを広くカバーすることを示すために”RTLからGDSUまで”というフレーズを使っているが、それほどにGDSUは標準化している。

Applicon社:1969年〜1981年に活動
早期のApplicon製品は、PDP -11 上で稼働。DECと共同でシングルユーザーのOSを修正し、世界初のマルチユーザーのOSとした。

描画文字認識を用いたコマンド入力方式を採用した。ユーザーインタフェースはマウスの代わりとしてスタイラスとタブレットを採用し、タブレットはディスプレイ上の左上と右下に配置された。1970年代後半にはLSIやVLSIの設計以外にも発電所の設計など機械系設計図面作成など多種多様な用途で用いられた。

図 Appliconを用いた設計風景4)


【参考文献】
1) 「EDA (半導体)」『フリー百科事典ウイキペディア日本語版』(2010年10月14日8:41)
http://ja.wikipedia.org/wiki/EDA_(半導体)
2) 「Calma」『フリー百科事典ウイキペディア英語版』(2010年8月9日7:12)
http://en.wikipedia.org/wiki/Calma
3)「 Applicon」『フリー百科事典ウイキペディア英語版』(2010年8月27日3:56)
http://en.wikipedia.org/wiki/Applicon
4) Applicon Reunionホームページ
http://www.appliconreunion.com/Applicon036.jpg


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【最終変更バージョン】
rev.002 2013/5/9