1959年
プレーナ型ICの発明(Robert Noyce、米国Fairchild)

〜集積回路〜



Fairchild社のRobert Noyceは、Jack Kilbyの発明(1958年7月)からほぼ半年遅れの1959年1月23日にプレーナ技術をベースにしたICの基本概念を考案した。Kilbyに遅れをとったとはいえ、Noyceの発明の方が今日のICの実現には不可欠な基本要素を含んでいた。即ち、KilbyもNoyceも一枚の半導体基盤に全ての回路部品を搭載するというところでは同じであるが、Kilbyは部品間を接続するために細線をボンディングしていた。これに対してNoyceの方式はプレーナ方式とよばれ、素子間の相互結線を二酸化シリコン上に蒸着されたアルミニウム薄膜でおこなった。Kilbyの方式はICの基本原理を示すものではあったが、実用化の観点からはNoyceの方式が格段に高い価値を持っていた。両者とも特許出願によってその権利を主張した。

ICの発明者はKilbyかNoyceか?この後10年に亘って特許権の帰属をめぐる法廷闘争が繰り広げられたのである。このような激しい係争の後、TI社とFairchild社のトップによる頂上会談において、IC発明の特許はKilbyとNoyceとが共有する形となって決着をみたのである。

Noyceはその後Gordon Moore等と共に、Fairchild社を去って、Intel社を設立(1968年)し、メモリー・マイコンなど今日の半導体産業のベースとなる製品分野を開拓し、偉大な業績を残した。 


【参考文献】
桑原裕他編「MOT歴史の検証」 第5章「半導体産業における歴史の検証」(牧本次生)


【移動ページ】
集積回路/該当年代へ


【最終変更バージョン】
rev.001 2010/10/26