|
||||||||||
2000年代 新メモリの開発 〜集積回路〜 |
||||||||||
現在、代表的な不揮発性メモリであるフラッシュメモリでは、情報を記録する蓄積電子数が、微細化と共に減少し、そろそろメモリとしての動作限界に達すると言われている。そこで、フラッシュメモリに代わる新構造の不揮発性メモリが種々提案されている。 磁気抵抗メモリ(MRAM : Magnetoresistive Random Access Memory)[1] は、磁性層(可動層)-絶縁膜-磁性層(固定層)からなる磁気トンネル接合を形成し、可動層の磁化方向で情報の書き込みを行い、その磁化方向で変調されたトンネル電流により、読み出しを行う。磁性層にはFe, Mo, Coなどを用い、トンネル絶縁膜には1nm程度の極薄Al2O3などを用いる。トランジスタと磁気トンネル抵抗の各々1個でメモリセルを構成できるため(1T1R型)、高密度化が可能であり、高速書き込み、長期信頼性にも優れている(図1)。 相変化メモリ (PCRAM : Phase Change Random Access Memory)[2]では、Ge-Sb-Teからなる三元系カルコゲナイド膜が、電気パルスの印加方法により、高抵抗のアモルファス状態と、低抵抗の結晶状態のいずれかになることを利用する。材料のカルコゲナイドは、DVDで確立した材料であり、1T1R型であるため、高密度化に優れている。 抵抗変化メモリ(ReRAMまたはRRAM : Resistance Random Access Memory)[3]は、PCMO (Pr0.7Ca0.3MnO3)、酸化ニッケル、クロム添加チタン酸ストロンチウムなど、金属酸化物の電圧印加による電気抵抗の変化を利用する。メモリセルは、MOSFETに抵抗膜を直列接続して構成する(図2)。ワード線でセルを選択し、書込み線とビット線の間に電圧を印加して抵抗膜の電気抵抗を変化させ、データを書き込む。他と同様に1T1R型のため、高密度化に優れている。 強誘電体メモリ(FeRAMまたはFRAM: Ferroelectric Random Access Memory)[4] には、強誘電体をキャパシタ絶縁膜として用いる1T1C型、あるいは書き込み/読み出しトランジスタのゲート絶縁膜として使う1T型がある。強誘電体材料としては、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)、SrBi2Ta2O9(SBT)、(Bi,La)4Ti3O12(BLT)などを用いる。1T1C型では、メモリセルの構成はDRAMと同じく、トランジスタとキャパシタを直列接続する。書き込んだ強誘電体の分極方向に応じて、読み出し電流が異なる。1T型では、分極方向に応じてトタンジスタの閾値が変化し、読み出し電流が異なる(図3)。低消費電力で動作することに特徴があり、既にスマートカードなどの分野で実用化が進んでいる。 |
||||||||||
|
||||||||||
【参考文献】 [1] R.Rcheuerlein et al., Tech. Dig. of ISSCC, p.94, 2000. [2] R.Bez, Tech. Dig. of IEDM, p.89, 2009. [3] I.G.Baek et al., Tech. Dig. of IEDM, p.587, 2004. [4] K.Hoya et al., Tech. Dig. of ISSCC, p.459, 2006. [5]「磁気抵抗メモリ」『フリー百科事典ウイキペディア日本語版』2013年3月20日 (水) 03:40 http://ja.wikipedia.org/wiki/MRAM [6] 「ReRAM」『フリー百科事典ウイキペディア日本語版』 (2010年10月13日10:35) http://ja.wikipedia.org/wiki/ReRAM [7] 「強誘電体メモリ」『フリー百科事典ウイキペディア日本語版』 (2010年10月13日11:27) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B7%E8%AA%98%E9%9B%BB%E4%BD%93%E3%83% A1%E3%83%A2%E3%83%AA 【移動ページ】 集積回路/該当年代へ 【最終変更バージョン】 rev.002 2013/5/9 |