1960年代後半
常圧CVDによる酸化膜採用

〜プロセス技術〜



初期の半導体(特にシリコン)では、絶縁膜にはシリコンを熱酸化した熱酸化膜が使われていた。しかし、熱酸化膜には、(1)露出したシリコン基盤上にしか形成できない、(2)高温・長時間の熱酸化が必要、などの制限があり、配線(AL)工程の後等には形成不可能であった。しかし、1960年代になって常圧CVDの登場で、これらの欠点が解消できただけではなく、燐やホウ素等の不純物をドーピングした酸化膜を形成することが可能になった。配線工程の後に燐をドープした酸化膜をつけられるようになったことで、デバイスの信頼性が飛躍的に向上し、エポキシ等の樹脂封止が可能になった。また、リフローにより下地の段差を滑らかにすることが出来るようになったため、ポリシリコンゲートなどのゲートと配線の多層化が可能となった。

常圧CVDは、ウェーハを保持するプレートを過熱し、シランと酸素などの反応ガスを流すことにより、ウェハ上でシリコン酸化膜を形成するプロセスである。この方法では、下地はシリコンでなくとも良いし、温度も500℃程度と低温で、比較的厚い膜(1ミクロン以上)も形成できる。

装置的には、円形や長方形の高温プレート上にウェーハを複数枚並べたものが一般的で、プレートを回転するものもある。当初は、デバイスメーカーにて内製化されていたが1)、1970年頃から天谷製作所、AMAT、Watkins-Johnsonなどから市販されるようになった。

デバイスメーカー内製の常圧CVD装置(東芝)1)

【参考文献】
1) 東芝半導体事業35年史 p.66


【移動ページ】
プロセス技術/該当年代へ


【最終変更バージョン】
rev.001 2010/9/17