2000年代
高解像度化技術
〜プロセス技術〜

従来の方法では、露光に用いる光源の波長程度までしか微細化できなかったのに対し、更に解像度を高める技術が開発された。解像度高度化技術の主なものは,@斜入射照明技術,Aマスク上での光の位相操作,Bマスク上パターンの事前補正,C複雑なパターンの分割加工,等が挙げられる。これら技術の着想は1980年代頃から始まり,微細加工に従事する多くの研究・開発エンジニアにより実用化に向けた取り組みがなされ,1990年代に部分的に実用化されていった。ArFの次の露光光源が不透明な中,現在もよりいっそう高度な微細化技術に対する取り組みがなされている。

@はマスクを斜めから照明し,マスク通過後両側に広がる回折光のうち,片側の分は捨て,2光束で結像してもう片側が少しでも多くレンズに取り込めるようにして,焦点深度を深くするための工夫である。装置としては照明絞り開口部の最適配置周辺部のみの光を透過するフィルターを挿入することで実現される(図.1)。
Aは位相シフトマスクと呼ばれるもので,渋谷-Levenson型(Alternate型)と,ハーフトーン型(Attenuated型)の2種類がある。マスク上のパターンを透過した光と,その隣接する光との位相を反転させ,像のコントラストを向上させようとする点は同じで,前者はマスク上の隣接する光透過部に180°位相反転シフターを設け,後者は本来遮光すべき領域の光を一部透過させかつ位相反転するものである(図.2)。実用化に際しては,特に前者はマスク上パターン光透過部の位相を順に0-πとするための自動配置,マスク位相欠陥の検出技術などがポイントであった。
Bは一般にOPC(Optical Proximity Correction:近接効果補正)と呼ばれる。元のパターンの転写像を,シミュレーション,実験により求めてその差異のパラメータ抽出を行い,これを設計レイアウトデータに反映するものである。1990年前後には設計者が手作業で部分的に行っていたものを,現在ではチップ全面で自動的に補正データを生成できるようになった。
Cは微細なパターンをその露光装置で解像可能なパターンに2分割,加工も2度に分けて行ったり,またはメモリーのような繰り返しパターンの場合には,形成した繰り返しパターンの側壁両側にパターンを形成することでパターンピッチを半分にするような加工技術で,ダブルパターニングと呼ばれている。露光ツールの解像限界以下のパターンを形成できるようになるが,加工工程が増えるための製造コストの増加とマスクコストの増加が問題となっている。

図1 斜入射照明法


図2 ハーフトーン型位相シフト法


【参考文献】


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【最終変更バージョン】
rev.000 2010/10/26