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1990年代後半 シャロートレンチアイソレーション(STI)の採用 〜プロセス技術〜 |
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STI(shallow trench isolation)は、素子領域と素子領域を分離するための厚い酸化膜の構造(以下素子分離)の一つである。1970年代から素子分離にはLOCOS法が永く長く用いられてきた。LOCOS法は、SiNをマスクにしてシリコンを酸化することで、必要な箇所のみに厚い酸化膜を形成する方法である。しかし、LOCOS法では、シリコンが横方向にも酸化されるため、せっかく微細にパターンを作っても酸化後の寸法は大きくなってしまうという欠点があった。それを克服するためにSTI構造が提案された。 STIは、名前のとおり、素子分離領域に細く浅い溝を形成して、その中に絶縁膜を埋め込んだ構造である。溝形成にRIEを用いれば、LOCOSのように横方向に広がることはないので、微細化にとって有利といえる。 コンセプトは1980年ぐらいの早い時期から提案されていたが、平坦化や埋め込み酸化膜で実用化には遠かった。本当の実用化は、平坦化にCMPが使われるようになってからである。製品への採用は、IBMが早く、0.35μmのDRAMで使用した。日本メーカーでは、東芝が1996年にDRAMで量産に採用した。 STIのプロセス装置的なポイントは、CMP、SiRIE、埋め込み酸化膜等である。特に埋め込み酸化膜は、微細な溝への埋め込み性、出来上がった後の、耐エッチング性等が要求されるため、枚葉のCVD酸化膜装置が必要となった。リフロー性の酸化膜(AMATやキヤノン等)やHDPを用いた異方性デポ(AMAT等)、また塗布型の酸化膜等が登場してSTIの実用化が進んだ。 |
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【参考文献】 kurosawa IEDM81 p384 B. Davari et al., IEDM89, p.61 日経マイクロデバイス 1995年7月号p259-261 【移動ページ】 プロセス技術/該当年代へ 【最終変更バージョン】 rev.003 2015/7/6 |