1950年
日本初トランジスタ動作確認(電気通信研究所)
〜個別半導体・他〜


1947年12月に発表されたBTLのトランジスタ発明のニュースは、1948年中頃には日本に伝わった。1948年10月には東北大渡辺、東大久保、電気試験所、東芝、日本電気、日立などの研究者によるトランジスタ勉強会がスタートした。勉強会は、1949年4月には日本電子機械工業会(EIAJ)の文部省研究費によるトランシスタ研究連絡会に発展する。早い時期から官民ともにその重要性を認識し、素早い対応がなされたことがわかる。

日本物理学会誌1949年7-8月号に東大の山下、渋谷が、日本初のトランジスタに関する解説論文“トランジスタ(結晶三極管)”を発表、Bardeen, BrattainのPhysical Reviewに掲載された論文を中心に、トランジスタについて解説している。が、この時点では、バイポーラトランジスタの動作原理の理解は日米ともにまだ十分ではなかったようだ。1950年4月3日に東工大で開催された日本物理学会分科会で、トランジスタに関する日本初のシンポジウムが開催された。

電気試験所から分割された逓信省電気通信研究所の岩瀬、浅川は、高純度Ge単結晶をもちいた点接触トランジスタの試作、動作確認に日本で初めて成功し、1950年11月4日、大阪大学で開催された第5回日本物理学会年会で発表した。


図1 日本初のトランジスタに関する解説論文の冒頭部分(1)


図2 1950年4月開催日本物理学会分科会プログラムの一部(3)


図3 1950年11月開催の日本物理学会年会のプログラムの一部(4)
   講演4F13で日本初トランジスタ試作成功を発表


【参考文献】
(1) 山下次郎、渋谷元一、“トランジスタ(結晶三極管)”、日本物理学会誌 第4巻、第4号、pp. 152-158、(7-8月、1949年)
(2) 山下次郎、“トランジスター(U)”、日本物理学会誌 第5巻、第2号、pp. 82-89、(9-10月、1950年)
(3) 学会記事、日本物理学会誌 第5巻、第6号、p. 365、(11-12月、1950年)

(4) 学会記事、日本物理学会誌 第6巻、第6号、p. 327、(11-12月、1951年)
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rev.000 2010/11/20