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2003年3月 青紫色高出力レーザー開発(三洋電機) 〜個別半導体・他〜 |
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1997年のGaN系青紫色レーザーの室温連続発振成功により、DVDの3-5倍の15-25GBの記憶容量を有する光ディスクシステムとしてHD DVDやBlue-Rayが画策された。デジタル高精細画像を2時間以上記録、再生することが可能になった。これのキーデバイスが405nm帯青紫色半導体レーザーである。 BD(Blue-Ray-Disc)の再生は20mW程度の出力で十分であるが、書き込みには、片面1層で50mW以上が必要になる。120mWで2倍速、200mW で6倍速と出力が大きくなるほど記録速度が速くなり利便性が向上する。多層ディスクになると更に大きな出力が要求される。例えばHTDV番組8時間分(100GB4層録画)を12倍速でダビングするには500mW程度が必要となる。このため、高出力青紫色半導体レーザーの熾烈な開発競争が始まった。 2003年、三洋電機の庄野らはパルス発振で光出力100mWの青紫色半導体レーザーを開発した。初期の青紫色レーザーで使われていたサファイア基板のかわりに、住友電気工業で開発に成功した大口径(2インチΦ)GaN単結晶基板を使用し、エピ層の結晶欠陥を低減する、活性層とp型クラッド層の間にキャリアフロック層(CB層)を挿入し、電子閉じ込めと光閉じ込めを制御するなどの工夫がなされている。ちなみにこのレーザーのサンプル価格は20万円だった。 2003年にソニーから世界初家庭用ブルーレイディスクレコーダ(45万円)が発売され、BDの普及がはじまった。青紫色レーザーもその後、ソニー、東芝、シャープ、ルネサスなど国内メーカーが続々と高出力レーザーを開発、商品化している。2008年に三洋電機は4層ブルーレイディスクへの12倍速記録に対応する、光出力450mW(パルス), 200mW(連続)の青紫色レーザーを開発している。 |
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キャリヤブロック層を挿入した青紫色レーザの断面構造概略(4) |
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【参考文献】 (1) “三洋電機 次世代DVD用高出力青紫色半導体レーザを開発、パルス出力100mWを実現”、Tech-on 記事 2003/03/27 http://techon.nikkeibp.co.jp/members/DM/DMNEWS/20030326/11/ (2) 葛西 秀典、“窒化ガリウム(GaN)系半導体レーザの高出力化の現状と今後の展開”、シャープ技報、第99号、pp.23-27、(2009年8月) (3) 仲畑 成二、岡久 拓司、松本 直樹、元木 健作、上松 康二、上野 昌紀、笠井 仁、木村 浩也、竹本 菊郎、“大口径GaN単結晶基板の開発”、SEIテクニカルレビュー、第161号、pp.76-79、(2002年9月) (4) 野村 泰彦、別所 靖之、狩野 隆司、井上 大二朗、庄野 昌幸、“記録型次世代DVD用高出力青紫色レーザ”、Sanyo Technical Review, Vol. 37, No.2, pp. 14-21, (March 2006) (5)三洋電機ニュースリリース“記録型ブルーレイディスクシステム用高出力青紫色半導体レーザを開発” 2008年10月03日 |
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