1985年
U-MOSFET 発明 (松下)
〜個別半導体・他〜


MOSFETは、入力インピーダンスが高く、熱暴走が起こり難いなどの特徴があり、大電力の高速スイッチング素子として期待された。しかし、バイポーラ素子に比べてオン抵抗が高いことが大きな課題であった。

パワーMOSFETは、単位面積当たりゲート幅を大きくするために縦型構造が採用され、当時はVMOSFET, DMOSFET (Double Diffusion MOSFET)が開発されていた。松下電子の上田らは、リアクティブ・イオンビーム・エッチング(RIBE)をもちいて、シリコン基板にU溝(グルーブ)を形成し、グルーブの側面をMOSFETのチャネルにする、図1に示すような断面構造のMOSFETを考案した。図2、3に示すような電流通路モデルでオン抵抗を解析し、図4に示すように新構造が優れていることを示した。

上田らはこのMOSFETをRMOSFET(Rectangular-grooved MOSFET)と命名したが、世の中ではUMOSFETあるいはトレンチ・ゲート型MOSFETの名前が定着した。
 UMOSFETは、比較的低い耐圧(30-100V)のスイッチング素子として、PCの電源などに広く使われている。


図1 UMOSFETの断面構造(1)

図2 UMOSFETのオン抵抗の解析にもちいた電流通路のモデル(1)

図3 VMOSFET(a) および DMOSFET(b)の電流通路モデル(1)

図4 UMOS(New type), VMOS, DMOSFET のオン抵抗比較図(1)

【参考文献】
(1)D. Ueda, H. Takagi, & G. Kano, “A new vertical power MOSFET structure with extremely reduced on-resistance” IEEE Trans. Electron Devices, vol. ED-32, pp. 2-6, (Jan. 1985)


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【最終変更バージョン】
rev.000 2010/10/08