2009年
世界初1310nm、10Gbps通信用量子ドットレーザー
量産開始(QDLaser)
〜個別半導体・他〜


量子ドットレーザー
ナノメートルサイズの半導体微粒子(量子ドット)を発光部に適用した半導体レーザーで、1982年東京大学荒川、榊によって提案された。量子ドットレーザーの発光は、量子ドットの量子サイズ効果で決まるので、温度変化に敏感な半導体物性を発光原理とする従来型レーザーに比べて、温度変化にともなうレーザーの光出力の変動を大幅に低減できるほか、低消費電力・長距離伝送・高速などの点で、従来の半導体レーザーを凌駕する画期的な特性を持ち、情報トラフィックが飛躍的に増加している光通信において、今後高性能な光源を実現する中核技術となることが期待されている。

開発した技術
量子ドットレーザーの速度を上げるためには、レーザーの光利得を増やす必要があり、そのためには、元となる量子ドットの数を増加させることが必要になる。
量子ドットは、高真空中に置かれたGaAs基板の上にInとAsの原子ビームを照射して作製する。基板上でInAsを結晶化させる場合、原子間の距離がGaAsと比べて大きいため歪みが発生するが、その歪を解放するように、3次元結晶化する。この3次元ナノ結晶の1個1個が量子ドットとして働く。
量子ドットの3次元結晶化のための成長条件を最適化させたことで、
(1)GaAs基板上にInAs量子ドットを高密度に面内配列する技術。これにより、1cm2あたり6×1010個の量子ドットの数を実現。
(2)高密度に配列した量子ドット層を多層化積層する技術。これにより、従来の5層から8層に増大。
を実現した。

レーザーの性能
10Gbps量子ドットファブリペローレーザーは、温度範囲20℃から100℃の範囲において、特性温度(T0)500Kを実現した。この値は従来型1310nm半導体レーザーに比べて約10倍すぐれており、量産製品としては世界最高記録を記録した。

量子ドットレーザーの構造概略図(2)


【参考文献】
(1)QDLaser社ホームページ(2009年3月23日)
http://www.qdlaser.com
(2) 富士通プレスリリース(2010年05月20日)
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2010/05/20-1.html


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【最終変更バージョン】
rev.001 2015/7/6