1982年
CD向けVSISレーザー商品化(シャープ)

〜個別半導体・他〜


GaAs/AlGaAs半導体レーザーは当初、モード安定化などのために複雑な構造になり、製造歩留まりが極端に悪く、高価で計測、通信などの分野には使用されたが、大量生産を必要とする民生機器への使用には難点があった。ソニーとPhilipsが商品化した家庭用CDプレーヤは、GaAs/AlGaAs半導体レーザーが搭載され、多くのメーカがこれの開発をおこなっていた。製品化には長寿命化が課題であった。

シャープは独自のp型GaAs基板を使用したVSIS(V-channeled Substrate Inner Stripe)構造を開発し、約4万時間という当時としては驚異的な製品寿命を達成し、業界で初めてCDプレーヤ用GaAs/AlGaAs半導体レーザーの量産化に成功した。

VSIS構造レーザーは、図に示すように、表面にn型GaAs層をエピ成長したp型GaAs基板にV型の溝を形成したのち、p型AlGaAsクラッド層、p型AlGaAs活性層、n型AlGaAsクラッド層、n型GaAsキャップ層を結晶成長する。

マスクアライメントや拡散プロセスを必要としないセルフアライメント構造で、比較的安価な液相成長で製作できるので、安価に製作できる特長がある。

最盛期には年間数百万個生産され、2000年ごろまで、約20年間生産された。

図1 VSISレーザーの構造概略と断面の電子顕微鏡写真(1)

【参考文献】
(1) 片山 忠則 “半導体レーザ開発物語”シャープ技報、第99号pp4-9、(2009年8月)
http://www.sharp.co.jp/corporate/rd/34/pdf/99_p4.pdf


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【最終変更バージョン】
rev.001 2015/7/6