1980年代
高エネルギーイオン注入によるディープウェルの形成
〜プロセス技術〜

1980年代に入りイオン注入の装置技術が発展し、工業的にも実用的な高エネルギーの注入装置がリリースされた。Genus社から発売されたIX-1500 はターミナル電圧最大750keVのタンデム型であり、3価イオンを用いれば3.2MeVまで加速できる。また、90年代に入り住友イートンノバ社(現、住友イオンテクノロジー社)からはRFのLinear 加速機構を用いて、一価イオンを1MeVまで、3価のリンを3MeVまで加速できる、信頼性の高いウェーハ処理機構を持つ高エネルギー注入装置も発売されるようになった。
 高エネルギー注入は最初、DRAMのツインウェル形成に採用され、さらに、ディープウェルを備えたトリプルウェルの形成に応用された。ツィンウェル構造が取り入れられることにより、サイリスタと同じpnpn配置で起こりやすいラッチアップを避けることができるようになった。ディープウェルでは回路ブロックごとに基板バイアスを変えることができ、Vthの制御を可能にし、ノイズの低減、アルファ粒子によるソフトエラーの影響低減など多くの性能向上、改善が図られるようになった。
 この高エネルギー温注入装置は、現在ではイメージセンサの深いフォトダイオードの形成には不可欠になっており、光感度の向上に大きく貢献している。

図1 トリプルウェル構造

【参考文献】
(1) SEMI News 2009、 No.1 「開発秘話:高エネルギーイオン注入」塚本克博
http://www.semi.org/jp/sites/semi.org/files/docs/Kaihatsuhiwa_2009%231_Mitsubishi.pdf

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【最終変更バージョン】
rev.000 2016/6/26