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2023年 データセンター向け広動作温度範囲 100Gbps変調器集積レーザ(EML)開発 (三菱電機) ~個別半導体・他~ |
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インターネットトラヒックは爆発的に増加し、「ゼタバイト」時代に突入している。その70%以上がデータセンター内トラヒックで、近距離(<10km)を高速・大容量データ伝送が可能な光インタコネクションが重要な役割をはたしている。データセンター内光リンクは、光トランシーバを装置に挿入し光ファイバーケーブルを接続する、「プラガブル光トランシーバ」の形式が一般的である(図1)。プラガブル光トランシーバの高速化と高集積化は急速に進み、現在では、400Gbps光トランシーバの実用化が進み、800Gbps。1.6Tbpsが画策されている1)。 400Gbps光トランシーバには、様々な規格がある。4個の4値パルス振幅変調(Pulse Amplitude Modulation-4: PAM4)動作に対応した、電界吸収型変調器を集積したレーザ(Electro- Modulator integrated Laser: EML)(伝送速度=100Gbps)の光を合波して、波長多重(Wavelength Division Multiplexing: WDM)で400Gbpsのデータ通信を実現する方式 がMSA(Multi Source Agreement)で制定されている。 データセンターの消費電力も重要な問題で、光トランシーバの低消費電力化技術がますます重要になっている。三菱電機は、チップ温度5~85℃の広い温度範囲で安定に動作する変調器集積レーザ(EML)を開発した2)。光トランシーバに従来必要であった、EMLの温度調整用熱電クーラー(ThermoElectric Cooler: TEC)が不要になり、消費電力とコストの低減ができる。 変調器集積レーザ(EML)は、単一モードでCW発振する分布帰還(Distributed Feed Back :DFB)レーザ3)と、光のオン/オフを制御する電界吸収型変調器(Elector –Absorption Modulator: EAM)で構成される(図2)。半導体各層は、n型InP基板上に有機金属気相成長法(Metal Organic Vaper Phase Epitaxial Growth: MOVPE)で成長する。レーザの活性層、変調器の吸収層はともに、多重量子井戸(Multi Quantum Well: MQW)構造を採用している。 三菱電機は図3(a)に示すように、レーザ部は高温特性に優れる埋め込み構造を採用し、電流ブロック層構造を工夫することで85℃の高温駆動時でも所望の光出力を確保した。 変調器は量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum Confined Stark Effect: QCSE)を利用する。量子井戸層に電界を印加したとき、電子、正孔の波動関数の移動によって伝導帯の量子準位は低下し、価電子帯の量子準位は上昇するため、エネルギーギャップが減少し、光の基礎吸収波長端が長波長側に移動する(図4)。電界を印加しないときは、レーザ発振波長は吸収スペクトル端から離れていて、レーザ光は減衰しないで透過するが、電界を加えると、レーザ発振波長は吸収域に入り、光の透過が妨げられるように、変調器を設計する。 変調器の広動作周波数帯域確保と高消光(on/off)比確保はトレードオフの関係にある。三菱電機は、低温で十分な消光比を保ちながら、3dBカットオフ周波数35GHz以上を実現するために、図3(b)に示すような、吸収層に光を閉じ込める割合の大きいハイメサ構造を採用した。さらに、EAMの先には、シングルモードファイバーへの結合効率向上のためのスポットサイズ変換器を搭載している。 三菱電機は、Oバンド(波長1260~1360nm)対応の、波長間隔20nmで発振する4種類のEMLを開発した2)(図5)。チップ温度5~85℃の範囲で、波長シフト約7nm以下(規格:13nm)を実現し、データセンター向け光トランシーバが従来搭載していた、EML温度調節用TECが不要になった。 NTTデバイスイノベーションセンター、古河電工は、半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier: SOA)も内蔵したEMLを開発した4),5)。400Gbpsで40km伝送が可能になり、データセンター間、メトロ・アクセス系に対応できる。また、三菱電機は、800Gbps、1.6Tbps光トランシーバに対応できる、200GbpsEMLチップの開発にも成功している6)。 |
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【参考文献】
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