1970年代、MOSFETの電流駆動能力を向上させるために、チップを貫通するように電流を流す、いわゆる縦型構造にする研究が進められた。 1975年、日立は図1に示す縦型ドレイン電極構造を有するパワーMOSFETをていじ発表した。その製造では、シリコンゲートpチャネル電卓用LSIプロセスが採用された。ゲート長は8μm、ゲート酸化膜厚100nm、高耐圧化のためのオフセットゲート長(ドリフトドレイン層の長さ)は8μm、ゲート幅は94cmである。 その結果、チップサイズ5mm角で、図2に示すドレイン耐圧100Vドレイン電流20Aを実現し、さらに、メッシュ状のゲート配置により周波数特性を改善した。このメッシュゲート構造は、従来のストライプ構造に比べて、ゲート抵抗の低減に加え、単位面積当たりのゲート寸法比(W/L)の向上、つまり電流容量の向上につながるためである。
【参考文献】 【1】I. Yoshida, M. Kubo and S. Ochi, “A High Power MOSFET with a Vertical Drain Electrode and Meshed Gate Structure”, Dig. Tech. Papers, SSDM, p.179, 1975. 【2】I. Yoshida, et al., IEEE J. Solid-State Circuits, Vol.Sc-11, p.472, 1976