1985年
Wintelの席捲始まる
〜業界動向〜


初期のマイクロプロセッサのオペレーティングシステムとして普及していたのはDigital Research 社のCP/M(Control Program for Microprocessor)であった。1980年代初頭に、IBM PCが登場、PC-DOSの名称でMicrosoftのMS-DOS(Microsoft Disc Operating System)がプリインストールされていたが、当時はキーボードからコマンドを入力して操作するものであった。MicrosoftがIBM PC用に供給したMS-DOSはインテル8086プロセッサ向けに開発されたオペレーティングシステムであった1)

1984年にMS-DOSがIBM PC/ATで採用されるとそれまで主流だったCP/Mに代わって急速に普及していった。日本ではPC-8001やPC-9801の初期にはROM-BASICを起動して、システムを動作させていたが、早々にMS-DOSに移行していった。この時代はまだWindows のようなグラフィカルなユーザインタフェース(GUI)ではなかった。

1985年にはMicrosoft Windows 1.0がリリースされた。1990年代に入ると、Windows 3.0/3.1、Windows 95、Windows 98などのバージョンが登場し、パソコン市場でのWindowsの支配が確立された。Wintelの組み合わせはパソコン市場の主流となり、世界中のユーザに利用されるにつれて開発者エコシステムが構築され、WindowsとIntelプロセッサは開発者にとって馴染みやすく、多くのソフトウアやアプリケーションがこれらのプラットフォーム上で開発されてきた。

1985年〜1990年代、インテルの役割は8086/8088、80286、80386といったプロセッサの開発、x86アーキテクチャの確立、プロセッサの性能向上と省電力化を目指す技術革新であった。マイクロソフトの役割はMS-DOS、Windows 1.0、Windows 3.0/3.1のリリース、Windows OSの普及と多様化、オペレーティングシステムの開発と改良であった。相互の建設的な協創によって、両者の発展が実現されてきた。


【参考文献】
1) 富田倫生著、「パソコン創世記」、TBSブリタニカ発行、pp125-133、「世界標準機IBM PC の誕生」(1994年)

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【最終変更バージョン】
rev.000 2024/07/17