1994年
半導体中期ビジョン委員会報告(1993年〜1994年)
〜業界動向〜


日米半導体協定の継続、円高による日本産業界全体の不況に加え、PCや周辺機器向け半導体需要の拡大といった市場構造の変化、米国半導体企業の復権といった状況の中で、1983年に米国を抜いて世界一位の半導体生産を誇った日本の半導体出荷金額シェアは1998年をピークに徐々に下がり始めた。一方で回復に転じた米国半導体産業は生産金額シェアでも1993年には日本を再逆転することとなり日本半導体産業の競争力低下が顕在化した。また円高の進行等の経済環境は日本の半導体産業においても産業の空洞化、雇用不安等の問題が起こってきた。この間1980年代の米国半導体業界はSIA(米港半導体工業会)、SRC(Semiconductor Research Corporation)などを中心に日本に対抗するために政府を含む業界横断的な戦略的対応を行ってきており、これが米国半導体の復権に大きく貢献してきといえる。しかしこの時期の日本半導体メーカ各社は日米協定への対応も含め短期的対応が中心であり日本半導体産業の競争力低下に対し業界を横断的に取りまとめた中期的な戦略的対応は困難であった。

このような日本半導体の状況を受けて1993年4月にEIAJ(日本電子機械工業会)の半導体通商政策委員会の傘下に「半導体中期ビジョン委員会」(委員長:NEC 尾崎隆一氏、メンバーは半導体メーカ10社〔富士通、日立製作所、松下電器産業、三菱電機、NEC、沖電気工業、三洋電機、シャープ、ソニー、東芝〕の委員で構成)が組織され、今後の日本の半導体産業の取り組みについて検討し1994年の「半導体中期ビジョン報告」の中で業界常設シンクタンクの設立が提言された。この提言を受け1994年4月に任意団体として常設のシンクタンクとして「半導体産業研究所(SIRIJ)」が設立されることとなった。


【参考文献】
1) 『半導体共同活動の現状』上田潤 BREAK THROUGH No.122-123株式会社リアライズ理工センター
2) 『ICガイドブック(2006年版)』(社)電子情報産業技術教会
3) 『一国の盛衰は半導体にあり』 牧本次生 工業調査会
4) 『STARK』武田計測先端知財団 2008年9月


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【最終変更バージョン】
rev.001 2015/6/16