1994年
半導体産業研究所(SIRIJ)設立
〜業界動向〜


1984年4月EIAJ(日本電子工業会)に設置された「半導体中期ビジョン委員会」からの提案を受け、半導体メーカ10社(富士通、日立製作所、松下電器産業、三菱電機、NEC、沖電気工業、三洋電機、シャープ、ソニー、東芝)により半導体産業研究所(SIRIJ:Semiconductor Industry Research Institute Japan、当初所長:NEC佐々木元氏 )が設立された。「半導体中期ビジョン委員会」の中での半導体産業研究所のミッションは(1)半導体技術の発展促進に関する研究(ATRAS)、(2)半導体産業の活性化と情報産業の貢献に関する研究(BASIS)、(3)半導体産業の国際協力に関する研究(Cプロジェクト)、(4)半導体産業の活性化に関する研究(Dプロジェクト)、の4分野および特別テーマであり、技術的課題だけでなく半導体産業の社会の中における位置づけ、新規需要の開拓、国際関係、通商政策、税制等、日本半導体産業が今後発展していくための全ての課題が研究課題として含まれていることが大きな特長である。

半導体産業研究所の最初の検討結果で日本の半導体産業の課題として(1)設計力(製品開発力強化)、(2)プロセスの先進性維持、(3)独創的人材の育成と確保、の3点を取り上げた。

この中で設計力については各企業自身で対応すべき課題とされたが、(2)(3)のテーマについては、業界の共同プロジェクトを設立し克服すべきテーマとして提言された。これらの提言を具体化する活動主体として「プロセスの先進性維持」に関し日本の半導体プロセスの基礎技術と製造技術での世界的イニシャティブを維持することを目的に1996年2月に株シ導体先端テクノロジーズ(SELETE:Semiconductor Leading Edge Technologies, Inc)が設立された。さらに「独創的人材の育成と確保」においては日本半導体産業にとり将来必要な研究テーマについて日本の半導体企業の資金を募り業界と大学が共同研究するとともに将来を担う研究者・技術者の育成を図るため、(1)大学におけるシリコン研究の活性化とシリコン技術者育成の支援、(2)産学協同による半導体産業の技術開発基盤の強化と独創的技術の創出を具体的な目的とした産学協同研究推進組織として1995年12月に株シ導体理工学研究センター(STARK:Semiconductor Technology Academic Research Center)が設立された。また1996年に政府出資による超先端技術開発機構(ASET:Association of Super-Advanced Electronics Technologies)においてもその設立の支援を行い、SIRIJ、SELETE、STARKは民間出資組織として協力しながら進めている。

さらに1999年になり日本の半導体産業の地盤沈下が更に顕著になったことに対し、SIRIJIを核として日本半導体復活のための大きな施策を実施することが急務であるとの必要性から、新世紀半導体委員会(SNCC:Semiconductor in New Century Committee」 が組織され2000年2月「日本半導体の復活」が提言され、その後2001年から開始される「あすか」プロジェクト、「半導体MIRAI」プロジェクト等のコンソーシアム活動につながった。
半導体新世紀委員会(SNCC)の提言書「日本半導体産業の復活」の概要

【参考文献】
1.SIRIJ ホームページ:
http://www.sirij.jp/index.html
2.STARCホームページ:
http://www.starc.jp/index-j.html
3.『バック・ツー・ザ・フューチャ・半導体 第18話』牧本次生
http://www.shmj.or.jp/makimoto/pdf/makimoto_01_18.pdf
4.『ICガイドブック(2006年版)』(社)電子情報技術産業協会
5.『半導体共同活動の現状』上田潤 BREAK THROUGH No.122-123株式会社リアライズ理工センター


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【最終変更バージョン】
rev.002 2015/6/16