2022年
高出力GaN HEMTを用いたXバンド全固体化レーダー(日本無線)

~応用製品~


GaN HEMTなどの半導体素子を信号源に用いる全固体化レーダーは、水晶発振器をベースにした高安定でコヒーレントなマイクロ波信号を発信できる。このため、周波数変調した長いパルス信号を発信し、受信信号を、周波数ごとに遅延をかけて特定時間に積み上げるパルス圧縮技術を採用することで、マグネトロンの1/100の数百Wの送信電力で、マグネトロンレーダーと同等の検知感度を確保できる。さらに、ドップラー信号処理技術で、移動する物体の速度を検知する機能を持たせることができる。GaN HEMTは10年以上の長期信頼性がありレーダーの維持費を低く抑えることが可能だ。

衛星通信や携帯電話の普及で、マイクロ波帯で数百Wの高出力が可能なGaN HEMTが開発・量産化され、適切な価格帯で供給されるようになった [1]。この結果、Sバンド(3GHz帯)、Xバンド(9GHz帯)の固体化レーダーが製品化されている。2015年にSバンド固体化レーダーを製品化した日本無線は2022年にXバンド固体化レーダーを製品化した [2][3][4]。GaN HEMT2個の並列動作で、尖頭出力電力600Wを確保し、船舶用X帯レーダーの機能要件として義務化されているSART(Search and Rescue Radar Transponders)に対応できている。

図1 X帯固体化レーダーの空中線部

図1 X帯固体化レーダーの空中線部
(提供:日本無線株式会社)


【参考文献】

  1. 西原 信、青嶋 真、宮澤 直行、“船舶用レーダー向けX帯300W GaN HEMT”、住友電工テクニカルレビュー、第197号、pp.23-26(2020年7月)
  2. 齋藤 壽寛、川口 優、“船舶用X帯固体化レーダの開発”、日本無線技報、No.75, pp. 40-46(2024)
  3. 日本無線株式会社ニュース、“Xバンド固体化空中線を船舶用レーダー「J2023 MR-9200/7200シリーズ」のラインアップに追加~機器の高性能化とメンテナンスコストの削減~”(2022年6月30日)
    https://www.jrc.co.jp/news/2022/0630-2
  4. 製品紹介、“X帯固体化レーダJRM-9296/7296”、日本無線技報、No.74、p.46(2023)

Ver.001: 2025/2/21