第2の黒船到来に映ったTI進出

 
米TI社との合弁会社設立に調印するソニー井深大氏

 1964年、米Texas Instruments(TI)社による対日IC工場進出宣言は、日本の半導体業界にとって、まさしく泰平のねむりをさます黒船の到来に映った。当時の日本の技術状況はシリコントランジスタの生産が立ち上がっていたもののゲルマ全盛時代で、ここでTIが乗り込んでくれば「日本のIC産業は芽も出さないうちに米国の軍門に下がる」などといわれていた。
 そんな事態を恐れた通産省は結論を先送りしつづけていたが、4年後の68年5月、@ソニーとの折半会社を設立する、A TIは特許を全面公開する、B 3年後にはTI社の100%子会社化する、などの条件を提示して決着した。
 写真はTI社との合弁会社設立書に署名する井深大ソニー社長。その右側がTI社P.Haggerty会長、後列左にたっているのが盛田昭夫ソニー副社長。

| 前の記事へ戻る |  | 頁トップに戻る | | 次の記事へ||第U部一覧へ