PETが開いた「パソコン元年」
Commodore Business Machine社の「PET-2001」
「パソコン元年」と呼ばれた1977年、米国では2つの企業からパーソナルコンピューター、略してパソコンが生まれた。
1つはCommodore Business Machine社の「PET-2001」(写真)。従来のキット製品と違って、キーボード、カセットテープ、CRTディスプレーなどが1つのコンソールに組み込まれ、それらがコンピューター本体と一体化しているのが特徴。CPUには傘下のMOS
Technology社が生産している6800互換の「6501」の改良機種「6502」を使った。
同社は1962年、ポーランド生まれのJ.トラミエル氏によって設立された。彼は12歳の時、侵攻してきたドイツ軍に捕えられ、アウシュビッツなどの強制収容所に収容されたが、奇跡的に生き残った。この地獄のような体験が自らの強靭な忍耐心と戦闘性を培った。
もう1つは,Apple Computer社の「AppleU」。同社は1970年にSteven JobsとSteve Wozniakの両氏によって設立されたカレージカンパニーで、彼らが所属していた「ホームグリュー・コンピューター・クラブ」で「AppleT」をデビューさせたのが設立の動機になった。マシンの設計(
CPUには6501を採用)とソフトウェアの開発にはWozniak氏があたり、プロトタイプ完成後はJobs氏の手に渡った。
しかし、同機は製品としては未熟なこともあって、本格的なビジネスとしては翌77年発売の「AppleU」の登場を待たねばならなかった。同機は今日のパソコンの基本機能を備えているばかりか、独自のカラーグラフィックス機能がユーザーから歓迎され、爆発的な売れ行きを示した。