国産勢はDRAMのNMOS化で先行

 
NECが開発した1KビットNMOS DRAMの本格製品「μPD404」

 米国の動きを敏感に察知したNECは、開発の遅れを挽回すべく翌1971年に国産初の1KビットDRAM「μPD403」を発表、さらにこれを設計変更して72年に「μPD404」(写真)を開発している。Intel製品が同じMOS型でもPMOSだったのに対し、こちらは開発面で蓄積のあるNMOSで、設計にあたった松江繁樹氏(後に取締役)は「どう控え目に見ても1103よりはるかに優れていた」と振り返っている。スピードしかり、使い易さ、歩留まりしかりというわけだ。
 では、NEC製品がIntel製品を駆逐したかといえば、そうではない。コンピューター生産の本場、米国を舞台にして売り込みに躍起となるIntelは、PMOSの標準化を狙い、セカンドソースのメーカーにも同様の製品化を求めた。
 これに対してNECは「いずれNMOSの時代になる」としてNMOS路線を堅持、4K時代に入るやその選択の正しさが立証された。ただし、4K製品で先行したのはこの市場に初参入の日立製作所で、NECがそれに続いた。そればかりかIntelが発表したものを見ると、やはりNMOSだったので、国産勢は「Noyce氏もなかなかの商売人だ」と口を揃えて感心したのを今も覚えている。    (黒沢敏夫氏提供)

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