プレーナー特許、NECが国内実施権

 
写真A フェアチャイルド社が製品化した初期のプレーナー型トランジスタのチップパターン


写真B 当時のフェアチャイルド社のメンバー(左端がNoyce氏、右端がHoerni氏)

 1957年に設立された米Fairchild Semiconductorでは、Jean Hoerniという人物が「3層のケーキの上に糖衣をかけるような仕事」(T. R. Reid『チップに組み込め!』)をやっていた。トランジスタ構造の最終的な姿と考えられていたメサ型はシリコン時代にも引き継がれ、生産量を増やしていたが、表面の汚染に弱いのが難点だった。
 Hoerni氏は、トランジスタの表面を酸化物で覆えば汚染物から内部を保護でき、しかも特性も全く変化しないという理論的な解決策を示した。58年のことだ。チップの表面にシリコン酸化物の平たいプレーン(平坦地)ができることに因んで、この手法を「プレーナープロセス」と呼んだ。写真Aはフェアチャイルド社が製品化した初期のプレーナー型トランジスタのチップパターンである。その形状が涙滴に似ていたので「ティアー・ドロップ」と呼ばれた。
 このプレーナー技術は、その後、ICの基本技術にもなってフェアチャイルド社の貴重 な技術資産としての役割を果たす。同社の中心人物で「プレーナーIC」の開発者でもあるRobert Noyce氏は既知の長船広衛氏が在籍していたNECと交渉を重ね、プレーナー特許の日本国内専用実施権を同社に委ねる。フ社側は当初、実施権料を7%と持ちかけたが、62年に最終的に決着を見たのは4.5%だった。  写真Bは左端が当時のNoyce氏、右端がHoerni氏。
 (米Fairchild Semiconductor社資料)

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