特別企画「江崎さん、おめでとう」
江崎氏のノーベル賞受賞が決まった直後の「電子材料」1973年12月号では、「江崎さん、おめでとう」と題した特別企画で、日本の半導体関係者17人からお祝いの言葉を頂いている。この企画については、自著『限界への挑戦 私の履歴書』(日本経済新聞社)のなかでも特に触れ、「直ちにお祝の言葉を寄せてくれたことに感動を覚えた」と次のように書き加えている。
<まず、神戸工業で上司であり、当時は名大教授の有住徹弥さんは苦しかったと同時に楽しかった神戸工業の思い出を語り、この時代に今回のトンネル効果発見に至る源流があったという証しを述べられた。電子技術総合研究所の菊池誠さんの言葉は揮っている。「彼が“群鶏の一鶴”でなく、むしろ“群鶴の一鶴”と言ってもよいところに、この受賞が仲間と後輩を元気づける本当の意味がある」と。東大教授の菅野卓雄さんは一人の研究者の次の言葉を引用された。「いままでのノーベル賞は遠い雲の上にあったが、江崎さんの場合は身近な感じで本当におめでたいという実感がします」。東北大教授の西澤潤一さんは「・・・江崎さんの受賞は他人事ではなくうれしい。ほとんどすべてが亜流のわが国半導体の中で一縷の清涼剤である」と述べられた。>