微細加工装置で一大成果

 
可変寸法整形方式高速電子ビーム描画装置

 超LSI共同研究所では、開発テーマの微細加工技術の一環として露光装置のような製造装置の研究開発がすすめられたが、写真はその1つの可変寸法整形方式高速電子ビーム描画装置。同時並行的に開発された電界放射電子銃型のものと併せて、その後マスクの製作で威力を発揮した。研究所長の垂井康夫氏は旧電気試験所時代の1967年に日本電子と共同で電子ビーム露光装置を開発、69年にはMOS型トランジスタ(チャンネル長1μm)の試作に成功しているが、こうした実績が役立った。
 もう1つの成果が、その後「ステッパー」と呼ばれることになる縮小投影露光装置。当時の紫外線露光はウェハー全面に1対1で対応する一括露光装置が主流だったが、ウェハーの大口径化、加工寸法の微細化と相まって解像度やゴミなどの問題が生じた。そこでレチクルのパターンを原寸まで縮小して1個ずつ露光するこの方式が開発された。
 この装置の試作を担当したニコンの吉田庄一郎氏(後に社長。前当協会副会長)は「われわれは以前から干渉計による位置決め機構と、解像力の高いレンズを使ってステップアンドリピーターをやりたいと考えていたので、大いに意気込んで製作にあたったものだ。今日われわれが世界市場で健闘しているのも、このプロジェクトの賜だった」と振り返っている。     (垂井康夫氏提供)

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