イオン注入装置是非論
日立製作所の64KビットDRAM生産ラインで活躍するイオン注入装置
DRAMの大容量化が進むなかで、半導体工場にはイオン注入装置のような超高額機器が入るようになった。写真は1980年代前半に日立製作所の64KビットDRAM生産ラインで活躍する同装置。
日本でイオン注入装置が注目されるようになった背景には、1968年に当時の新技術開発事業団が大型開発課題に取り上げ、難波進理研主任研究員(大阪大学教授と兼任)―日立、伊藤糾次早稲田大学教授―東芝の2グループが実用化に向けた開発研究を推進したことが大きい。
難波教授から聞いた話では、学振第132「荷電ビームの工業学応用」委員会で米国の状況を話したところ、「大きなイオンが結晶の中深く入るはずがない」「入ったとしても結晶を破壊してしまい絶対実用にはならない」といった反対意見が続出したという。
その難波教授と一緒に台湾から招かれ、ナノテクの将来性が話題になった際、「イオン注入技術だって当初は10人中10人が否定的だった」と話されたのが今も印象に残っている。 (日立製作所提供)