「独創開発の拠点」半導体研究所
写真A 1963年完成の半導体研究所1号館の外観
写真B 1983年に「SITの開発と光通信の基本3要素」の功績でジャック・A・モートン賞を受賞した西澤教授
「東北大学に渡辺、西澤あり」といわれるように、渡辺寧、西澤潤一両教授は師弟関係の強い絆で結ばれながら、日本の半導体研究開発史に大きな足跡を残した。1961年に財団法人として設立された「半導体研究振興会」はその記念碑的な研究機関で、開設以来、内外に存在感を示してきた。写真Aは1963年完成の半導体研究所1号館の外観。
同研究所はその目標を「わが国の半導体電子工学とこれに関連する広い分野にわたる独創的研究の育成と発展」に置き、西澤研究所長を中心に、大学における基礎的研究と産業界における開発研究との橋渡し的役割を果たしてきた。今でこそ「産学連携」は当たり前のように受け止められているが、半世紀も前から実践してきた先見性は高く評価されてよい。東北大の「実学重視」の伝統を踏まえたものといえる。
「ミスター半導体」西澤教授により発明された半導体技術や製品には、静電誘導トランジスタ(SIT)およびサイリスタ、半導体レーザー、集束性光ファイバー、PINフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、蒸気圧制御温度差法による完全結晶技術、同技術を用いた高輝度発光ダイオードなど数え上げればキリがない。
このような功績が認められて、西澤教授は国内的には日本学士院賞、恩賜発明賞、文化勲章など、国際的にはジャック・A・モートン賞、エジソン賞などを受賞している。
写真Bは1983年に「SITの開発と光通信の基本3要素」の功績でジャック・A・モートン賞を受賞した西澤教授。
なお、同振興会は2008年3月に所期の目的を果たしたとして解散している。 (西澤潤一氏提供)