【出典について】
●WSTS(World Semiconductor Trade Statistics):世界半導体市場統計
WSTSは、世界の半導体企業が自主的に加盟している半導体市場に関する世界的統計機関である(設立は1984年)。半導体完成品(チップを除く)の世界4地域(米州、欧州、日本、アジアパシフィック)別の市場を集計した統計(出荷額:最終需要に近い額)である。データを提出するのは、国籍に関係なく各半導体メーカーである。合算する場合のダブルカウントを避けるために、「生産委託側」がデータを提供する。このため、ファウンドリ(生産受託側)の売り上げは、半導体生産プロセスの付加価値額とみなされ、カウントされない。
なお、ここでいう「半導体市場」とは、半導体メーカーの国籍や生産工場の所在地に関係なく、「半導体製品が半導体メーカーから第3者に販売された地域」を意味する。第3者には、半導体ユーザーである電子機器メーカーやEMS(Electronics Manufacturing Service:電子機器の受託製造サービス)、半導体商社などが含まれる。例えば、「日本市場」は世界の半導体メーカーが日本で第3者に販売した半導体製品の金額をいう。購入した第3者がその半導体製品を海外に運び電子機器に組み込んだとしても、それは日本市場に含まれる。
●SIA(Semiconductor Industry Association):米国半導体工業会(設立は1977年)
WSTS設立以前は、SIAの半導体市場統計を基にしている。なお、SIA設立の提唱者は、当時の半導体業界のリーダーだったWilfred Corrigan(Fairchild Semiconductor、後にLSI Logic Corp.)、Robert Noyce(Intel Corp.)、Jerry Sanders(Advanced Micro Devices, Inc.)、Charles Sporck(National Semiconductor Corp.)、John Welty(Motorola, Inc.)の5人。自由でオープンな世界市場を目指しながら、技術面・市場シェアで米国優位を確立するなどを使命としている。現在、米半導体メーカー30社以上が加盟している。
●経済産業省:生産動態統計年報―機械統計編
経済産業省が各企業に依頼して月ごとに集計している生産統計である。この月ごとの報告は「生産動態統計」(月報)として毎月公表されている。この月報の1月~12月の累計を年ごとに集計したものが『年報』(機械統計年報と略す)である。年報では集計の誤りなどを訂正した値となっているため、月報の集計とは値が異なる場合がある。
この生産統計は、企業国籍は問わないので、日本で生産された半導体素子・集積回路などの生産統計となる。ただし、チップを除く完成品に限定している。ファブレスやIDMといった企業の形態にかかわらず、日本からの出荷であれば、国籍を問わず「日本国内生産」となる(統計の対象)。
チップは、半導体の完成品を製造するための中間財の位置付けであり、海外で後工程(組み立て)を行い完成品とする場合は海外現地生産となる。このため、国内生産統計には含まれない。海外で組み立てた完成品を半導体メーカー(販社)が日本国内で出荷(販売)する場合でも国内生産には含まれない。しかし、海外で生産されたチップを日本に輸入し、日本で完成品にしたものは生産に含まれる。