開所式にエリザベス女王
エリザベス女王を迎えるNEC大内氏
生産拠点の海外展開に取り組んだNECが英国スコットランドにLSI生産の拡充を目指して「NECセミコンダクターズ(UK)」を開設したのは1983年のことだ。開所式にエリザベス女王が参列されたこともあって新聞やテレビを賑わせた。
その際に女王陛下を同社副社長として迎えた大内淳義氏に後日聞いた話――。
開所式が滞りなく済んだ後、女王が工場見学をする運びとなったが、何のためらいもなく一般作業者と同じ防塵服を着用された。女王の胸には「NEC」のマークが付いたが、特に気にされる様子はなかった。
工場見学が済むとレセプションに臨まれたが、女王は幹部にとどまらず何人もの従業員に親しく声をかけられた。
「あなたは日本から来られたのですか」
「家族はこの近くに住んでいるの」
問われて側がかしこまって、「はい、女王陛下!(Yes,your majesty.)」と答えるのが精一杯で、大内氏もそれだけはきちんと覚えていた。
「女王陛下は英国の象徴といわれるだけあって、さすがに優雅で気品のある方とお見受けした。加えて非常に気さくで気配りの行き届いた方で、われわれの工場の船出を心から祝福されていたようだ」とは大内氏の感想。
写真はエリザベス女王を迎える大内氏。 (大内淳義氏提供)