トランジスタ紹介記事の「第1報」
トランジスタの本格的な紹介記事を載せた米エレクトロニクス誌 (拡大可能)
トランジスタ発明のニュースを最初に報じた商業誌は、私の知るところ、ベル電話研究所の公式発表翌月に発表された米週刊誌「タイム」の1948年7月12日号ではなかろうか。
前出の一宮虎雄氏によれば、氏は毎週、通勤の途上、東京駅で同誌を購入していたが、「たまたま同誌の科学欄を見ていると『小さな脳細胞 (Little Brain
Cell)』と題した記事が目に留まった。トランジスタの写真も添えられていて、これぞ特ダネとばかり、翌朝、心をはずませて出所したら、自慢する暇もなく部長に呼び出された。部長の清宮(博)さん(後に富士通社長)が何人かの所員を前に切り出した話がトランジスタのことだったのでまた驚いた」というのだ。
一方、専門誌で本格的な紹介記事を載せたのが米国の「エレクトロニクス」誌の1948年9月号。同誌の記者がまとめたもので、4頁にわたってかなり詳細に説明されている。写真はその1頁目で「トランジスタ―結晶三極管」というタイトルがついている。