日本半導体イノベーション50選 (T-5 1970年代)
極薄酸窒化ゲート絶縁膜技術の先駆的研究
1970年代後半に富士通は、シリコン熱酸化膜を活性窒素で熱処理して形成されるシリコン酸窒化膜が、MOSFETのゲート絶縁膜としてシリコン熱酸化膜より優れていることを世界で初めて実証した。すぐに、この膜が使用されることは無かったが、デバイスの微細化が進み、2000年代になって、2nm以下の膜厚のゲート絶縁膜が必要な90nm世代になると、酸窒化膜ゲート絶縁膜が使用され始め、65nm世代では世界中で標準的に使われている。45nm以降ではHigh-k膜が採用され始めているが、シリコン界面のバリア層として窒化酸化膜が必須と考えられている。日本が先鞭をつけた活性窒素によるシリコン酸窒化膜形成技術は、世界の半導体企業において高性能CMOS LSIの必須技術となり、今後も基盤要素技術として広く活用されると考えられる。
90nm CMOS断面TEM写真(部分) |
(出典1) |
リンク欄
■材料科学技術振興財団(MST)HP 第6回山崎貞一賞
「シリコン直接窒化による高信頼CMOSゲート絶縁膜の先駆的研究:伊藤隆司」
■広島大学HP
「LSIプロセスにおける直接窒化事始:伊藤隆司」
■日立ハイテクHP 日立評論 Vol.85
No.4 (PDF)
「90〜65nmプロセス対応のプラズマ酸化・窒化装置」
写真出典1
"Electrical properties of 1.5-nm SiON gate-dielectric using radical
oxygen and radical nitrogen" IEEE Trans. ED, vol. 49, pp. 1903-1909
(2002)
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