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1980年代 不揮発性メモリの進展 ~集積回路~ |
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EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)はMOSトランジスタのフローティングゲートに高電圧により電子を注入することで書き込みを行う。フローティングゲート上の電子は周囲から絶縁されているので電源を切っても消去されず、ROMとして機能する。消去は紫外線を照射して電子を励起し、ゲートの絶縁膜を通過させて行う。紫外線を使うため、EPROMはUV-EPROM(Ultra Violet EPROM)とも呼ばれた。EPROMのパッケージには紫外線を透過する石英ガラス製の窓が設けられており、パッケージコストが高かった。また、EPROMを多数個同時に書き込みするには特別なEPROMライターが必要だったが、それでも広く使用されるほど消去可能でプログラマブルなROMは重要であった。 EPROMは、1971年にIntelが世界初の2KビットEP-ROM 1702Aを開発して歴史が始まった。1970年代のEPROM市場は、IntelとTIがリーディングメーカとして大容量化を進め、それを日本メーカが追いかける展開であった。EPROMの大容量化は1980年代も継続して進み、1980年ころ64Kビットだった容量が1980年代末には4Mビット品が開発されるまでになった。1980年代になると日本メーカが大容量化でIntelとTIに追いついた。 Intelの1702AはPMOSだったが、その後EPROM もDRAMと同じようにNMOS製品が主流になった。1980年代になるとCMOS化が始まり、日立が1983年に開発したCMOS の64KEPROMなど、各社からCMOS製品が発売された。 EPROMで紫外線を使用する不便さをなくそうと、1970年代から書き込みデータを電気的に消去できるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)の開発が進められた。フローティングゲートや酸化膜中のトラップ準位に蓄積された電子を、トンネル効果を利用して電気的に引き抜くものである。広義のEEPROMには一括消去するフラッシュEEPROMも含まれるが、一般にはバイト単位で消去・書き込みができるものがEEPROMと呼ばれている。EEPROMに関しては、日立からMNOS(Metal-Nitride-Oxide-Silicon)構造のセルを持った16K、64K、256Kの製品が販売された。 1970年代~1980年代の不揮発性メモリ市場では、マスクROMも大きな地位を占めていた。マスクROMはセル構造が簡単なため大容量化しやすく、パッケージも通常のプラスチックパッケージを使えたためビットコストが安かった。このため、セットメーカは試作ではEPROMを用いてデバッグを行い、量産ではデバッグしたROMコードを焼き付けたマスクROMを使用するというケースが多かった。当初マスクROMもNMOSだったが、1Mビットの時代にCMOS化した。また、マスクROMでは欠陥救済回路が難しかったが、簡易的なEPROMデバイスによる欠陥救済回路を搭載した16MマスクROMを日立が1988年に開発した。 マスクROMはビットコストが安いというメリットがあり、ビデオゲームのROMカートリッジはじめ広い分野で使用された。しかし、ウェハ工程で書き込みをするため納期が掛かる、ロットサイズが大きくないと使えないというデメリットがあった。これに対して、EPROMチップをプラスチックパッケージに入れて1回のみ書き込み可能なOTP(One Time Programmable)製品が登場し、少量の応用にはOTPが使用されるようになってきた。その後、微細化の進展で製品コストが低減していったことから、OTP製品は次第に中量の応用に対しても使われるようになった。 1990年代になると、紫外線を使用せずに一括消去ができるフラッシュメモリが普及して、マスクROMとEPROMに代わり主流となった。 |
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図1 EPROMの窓付きパッケージ (写真提供 日立製作所) |
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図2 EPROMのメモリセル 1) |
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図3 MNOS型EEPRPMのメモリセル 2) |
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【参考文献】 1) 1MビットCMOSEPROM “HN27C101”・“HN27C301” 福田 実、内堀 清文ほか 日立評論 Vol.68 No.7 1986年7月号 2) 64kビットCMOS EEPROM “HN58C65”神垣 良昭、古沢 和則ほか 日立評論 Vol.68 No.7 1986年7月号 【移動ページ】 集積回路/該当年代へ 【最終変更バージョン】 rev.000 2010/11/8 |