1960年代
電極・配線形成に蒸着によるAl薄膜使用

〜プロセス技術〜



Alは比抵抗という面で、銀、銅、金についで低く、コストや耐酸化性、SiO2との良好な密着性、また、Si特性(ライフタイムなど)への悪影響の無いことなどを考慮すると、電極材料として最適の材料であった。バイポーラシリコントランジスタの電極応用のみならず、MOS型トランジスタのゲート電極としても使われ、その後進化していったIC、LSIでもAl系材料が配線材料として使われ続けた。1990年代後半になって先端LSIでは配線金属としてCuが使われるようになったが、多くの半導体デバイスではいまだにAl系材料が使われている。

Alの成膜には、抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着法が使われた。1960年代にはタングステン製のヒータ兼ルツボを使った抵抗加熱蒸着法が使われたが、1970年代には生産の主流は電子ビーム蒸着法に移行した。この方法は、ルツボに入れたAlに電子線を当て加熱し、蒸発したAlを同じチャンバー内においたウェハに付着させる方法である。

電子線をAlに当てたときに出るエックス線によりMOSトランジスタの閾値電圧がずれるという問題があったが、これは低温の熱処理プロセスを施すことで回復できた。

微細化が進むにつれ、シリコンとのコンタクト面でシリコンとAlの相互拡散による拡散層のつきぬけや配線のマイグレーションが問題となり、シリコンや銅などの微量の不純物をAlに混ぜることが必要となった。これらの不純物のコントロールされた混入は蒸着では実現できず、1970年代後半にはスパッタによる成膜が主流となっていった。


【参考文献】
1) S.M.Sze "VLSI Technology" 1983


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【最終変更バージョン】
rev.001 2010/12/5