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1993年 世界初高輝度InGaN/GaN青色LED商品化(日亜化学) 〜個別半導体・他〜 |
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青色LED実現には、バンドギャップが2.6eV程度の半導体材料でpn接合をつくる必要がある。U−Y族のZeSe、V―X族のGaN系半導体、W−W族のSiCなどが研究さたが、SiCは間接遷移なので発光効率が悪い、ZeSeは劣化が激しい、GaNは結晶薄膜が出来ないなどの理由から、光三原色(RGB)の中では最も開発が遅れていた。 GaN LEDの最初の発光は1971年にMIS構造で観測されたが、欠陥の多いGaN結晶の改良が進まず、P型GaNが作れないことから、多くの研究者が1970年代後半には手を引いていた。名大・赤崎、天野らはこの頃から精力的に研究を継続し、1989年にAlNバッファー層の採用による結晶欠陥の低減とZnドープ層を電子線照射することでP型GaN層を実現する技術を開発し、世界で初めてpn接合青色LEDの開発に成功した。しかし発光が微弱で実用化には至らなかった。 日亜化学・中村らは、加熱したサファイア基板に水平にGa化合物を含む原料ガスを、窒素および水素ガスを基板に垂直に送り込むツーフローMOCVD装置を考案した。後に404特許(特許第2628404号)といわれるものである。この技術と、アモルファスGaNバッファー層の採用により良質のGaNならびにInGaN単結晶が得られるようになった。また、MgドープGaNを水素フリー雰囲気で熱処理することで、Mgが活性化しp型になることを発見し、そのメカニズムの解明に成功した。 高品質InGaN結晶とp型GaNに実現により、1991年にはpnホモ接合型で発光効率0.18%、1993年には、InGaNを発光層に用いたダブルヘテロ構造LEDで発光効率2.7%の青色発光ダイオードを開発し、世界で初めて商品化した。その後、発光層にInGaN量子井戸構造を採用し、発光効率9.2%を達成している。 その後中村らは、発光層に20周期のInGaN多重量子井戸構造、クラッド層にGaN/AlGaN超格子構造を採用した青色半導体レーザーの室温CW発振に成功する。1999年に日亜化学は世界で初めて青色半導体レーザーの市販を開始した。 これら一連のLED技術の発明により、大型フルカラーディスプレイ装置、並びに長寿命、高輝度、低消費電力白色光源が広く普及した。上記、赤崎、天野、中村は2014年ノーベル物理学賞を受賞した。 |
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単一量子井戸青色LEDの断面構造(2) |
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【参考文献】 (1) D. Steigerwald, s. Rudaz, H. Liu, R. Kern, W. Goetz, & R. Fletcher, “III-V nitride semiconductors forhigh-performance blue and green light-emitting devices”, JOM, Vol. 49, No. 9, pp. 18-23, (1997) http://www.tms.org/pubs/journals/jom/9709/steigerwald-9709.html (2) Fujifilm Science Imaging Systems Application Note, No. 9 (Sep. 1997) (3) The Nobel Prize in Physics 2014 http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2014/ 【移動ページ】 個別半導体他/該当年代へ 【最終変更バージョン】 rev.005 2015/7/6 |