2000年代
ALD(原子層成膜)
~プロセス技術~


ALDは、① X元素を持つプリカーサを暴露して基板表面の末端基をXを置換吸着させ、次に② Y元素を持つプリカーサを暴露してX元素の反応基をY元素に置換吸着させて、 これを繰り返してXY化合物を単原子層毎に堆積させる薄膜形成方法である。ここで①と②のそれぞれの置換吸着は飽和する反応であるので、充分な暴露時間では反応種の 供給に律速しない、ほぼ完全な表面反応律速過程の成膜となる。これによって、パターンに粗密のある三次元構造上に均一な成膜が可能になる(図1)。 シリコン半導体分野では、この特長によって、従来のLPCVD(低圧気層成長)にあった、反応種の供給が律速してアスペクト比が大きくなると底部の膜厚が上部より薄くなる 問題が解消された(図2)。シリコン半導体用ALD成膜装置はオランダのASM International社が枚葉型で製品化した。 ALD成膜法は、先ずアスペクト比が増大した256MbitDRAMのスタックド・キャパシタのHigh-k成膜に適用され、更にトランジスタのHigh-kゲート膜、メタルゲート膜など、 LSIの主要な構造成膜に展開された。また、膜厚が原子層レベルで①と②のサイクル数によって制御できる特長により、リソグラフィーの光学的な波長限界を超える微細な 加工マスクを形成するダブルバターニング技術に適用されるようになった(図3)。CD(クリティカル・ディメンション)を決める露光機のコストが膨大に上昇するために、 ダブルパターニング法は今や不可欠なCDコントロール技術になっている。
図1 置換吸着特性

図2 LPCVDとALDの被覆性
図3 ダブルパターニング

【参考文献】
[1] A Short History of Atomic Layer Deposition: Tuomo Suntola’s Atomic Layer Epitaxy, Wiley Online Library
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cvde.201402012/full


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【最終変更バージョン】
rev.002 2018/11/11