1961年
RTLの登場 (米国Fairchild)

~集積回路~



半導体の発展の基盤技術となった集積回路の発明から間もない1961年Fairchild はRTL(Resistor Transistor Logic) μL900ファミリを開発した。[1]

RTLは抵抗器とバイポーラトランジスタで構成された初の集積回路である。

最も基本的な構成のRTLは単一の入力抵抗と単一のトランジスタを搭載し、入力信号を論理反転して出力するインバータの論理機能を持つ。また、複数入力の論理和の反転を出力するNORゲートには入力抵抗を複数にしたワントランジスタ型(図1)やトランジスタを複数搭載した複数トランジスタ型(図2)がある。

アポロ計画のApollo Guidance Computerでは、厳しい信頼性の評価を経てFairchildの開発した3入力のRTLが実使用された。[2]

RTLの欠点はトランジスタがONになった時のベース抵抗やコレクタ抵抗での電力消費に伴う発熱である。また、ノイズマージン確保のための入力抵抗数にも制約があった。RTLの動作速度改善の目的ではキャパシターを併用する手法も試みられた。

一方、抵抗器とバイポーラトランジスタを搭載したRTLの集積回路にダイオードを追加搭載することは比較的容易であった。そのため、RTLは性能面でも設計の自由度の観点からも優位なDTL(Diode Transistor Logic) 、そしてTTL( Transistor Transistor Logic) へと比較的短期間のうちに移行していった。
図1 2入力1トランジスタNORゲートRTL回路図
図2 3入力3トランジスタNORゲートRTL回路図
(アポロ計画のApollo Guidance Computerで使用された)

【参考文献】
[1] Resistor–transistor logicウィキペディア(12 July 2017)
https://en.wikipedia.org/wiki/Resistor%E2%80%93transistor_logic

[2]Smithsonian National Air and space “Apollo Guidance Computer and the First Silicon Chips”
https://airandspace.si.edu/stories/editorial/apollo-guidance-computer-and-first-silicon-chips


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【最終変更バージョン】
rev.001 2017/12/12